「牛丼は1杯1000円だって全然おかしくない」

スパークス阿部修平氏が語る日本株の行方

そして、世の中がインフレへと転換しつつあると見る最大の要因は、ヤマト運輸が今年10月1日をもって、27年ぶりに宅急便の値上げを行うことだ。

バブルがピークをつけるときは、何かしら象徴的な出来事が起こる。1980年代の不動産バブルにおいては、総量規制がそれであり、これを機に不動産市場への資金流入がふさがれ、地価や株価の急落につながった。ヤマト運輸の値上げは、マイナスバブルのピーク、つまりデフレの極から脱出し、インフレに向かおうとしている今を象徴する出来事だと思う。

牛丼は国際標準なら1000円だっておかしくない

「ヤマトの値上げは象徴的な出来事。日本の価格はこれから上がるしかない」、スパークス・グループの阿部修平社長はそう断言する(写真:スパークス・グループ提供)

実際、日本はあらゆるモノやサービスの値段が、異常値といってもいいほど安い。たとえばホテルの宿泊費。日本で1泊6万円のグレードと同じホテルにフランスで泊まろうとしたら、16万円はかかる。

あるいは日本のランチ。牛丼の値段が350円程度で、これを米ドルに換算すると3ドルちょっとになるが、十分においしく、空腹も満たされる。もし、米国でランチを食べようとしたら、10ドル以下はほとんどありえない。

日本には大勢の外国人観光客が来るが、彼らがいちばん驚くのは何か、ご存じだろうか。コンビニエンスストアで売られているサンドイッチの値段だ。海外には、日本のような品質の高い味で、あれだけ安い価格で売られているサンドイッチは存在しないのだ。

つまり、日本においてはさまざまなモノの値段に、歪みが生じているのである。すべては、1990年代から長期にわたって続いたデフレの恩恵ともいうべきものだが、歪んだ価格形成は、必ず修正される。牛丼の値段がグローバル水準にまで値上がりすれば、おそらく1000円くらいにはなるだろう。このように歪んだ価格形成が修正される過程で、日本はデフレから完全に脱し、いよいよインフレの時代へと突入する。仮に円高に進めば一見インフレに見えないかもしれないが、モノやサービスの価値がおカネの価値に比べて上昇する時代に突入したのは間違いない。

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おそらく、目端の利いた企業経営者は、インフレ時代突入に気づいているはずだ。先日、トヨタ自動車の株主総会で豊田章男社長が「少し守りにシフトしすぎていたかもしれない」と発言している。この言葉には、これから設備投資、研究開発、そしてM&Aまでを含めた将来への投資を加速させるとともに、人材育成にもますます注力するというメッセージが込められている。日本を代表する企業であるトヨタ自動車のトップが、このような発言をすれば、他の企業経営者も、これに追随する可能性がある。ますますインフレへの道が近づいている。

ひるがえって、日本の株式市場に目を向けると、株価はまさに異常値というべき割安水準に放置されたままだ。日本株のPBR(株価純資産倍率)は、1倍を少し上回る程度。他の主要国を見ると、米国が3.2倍程度、ドイツとイギリスが1.9倍前後で、全世界の平均値は2.2倍程度だ。PBR1倍とは、言い換えればビジネス価値がゼロということだ。

それはおかしな話だし、インフレの兆候が表れているのに、株価がデフレの極にあるのも理屈がつかない。日本の株価は、まだまだ上昇余地があると考えるべきだろう。

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