BBCは昨年、影響力を持って人の心を動かした100人の女性の1人に、麻央さんを選びました。彼女も最初はガンを内緒にし、「ガンの陰に隠れて」生きていたそうですね。そんな彼女が、ガンに負けて早世した女性としてだけで記憶されることを拒否し、強い母、誇らしい妻として生きることにギアチェンジし、最後まで世界中の人の心を動かして生き切りました。その心の強さに、まず敬意を表したいと思います。
何度も報道されたことを、ここでまた引用することはためらわれますが、「与えられた時間を、病気の色だけに支配されることは辞めました。なりたい自分になる。人生をより色どり豊かなものにするために。だって、人生は一度きりだから」という麻央さんの、極限の状況にありながらも心底から発されたこのメッセージに、この病でなくとも奮起した方は多いのではないでしょうか。
「料理ができなくとも、幼稚園の送り迎えができなくとも、妻として母として認め、信じ、愛した家族の存在」が彼女の苦しい闘病を支えました。ご家族も立派ですが、卑屈にならず弱気にならず(時にはなったはずですが、それ以上に)本人も立派です。家族の在り方や闘病中の心の持ち方について、多くのメッセージを発信されたことになります。
勇気と聡明さに、感服するのみ
彼女はまた、「病気になったことが、私の人生を代表する出来事ではない(略)。夢を叶え、時に苦しみもがき、愛する人に出会い、2人の宝物を授かり、家族に愛され、愛した、色どり豊かな人生だ(略)」と記しています。
平均寿命の3分の1しか生きられそうにない人生を、感謝を込めて意味づけています。誰かの役に立つことを願って、これだけを書くのも凡人にはできない凄いことだと思います。同情を買っているとかおのろけだと受け止める向きもあったようですが、私は彼女の勇気と聡明さに、感服するのみです。
白状しますと私は、たまたま目にしたこの状況での麻央さんと海老蔵さんを中傷するコメントに吐き気がするほど嫌悪感を覚え、反論したくなって今回のテーマを決めました。ところが少し読み進めるうちに、世の中は、麻央さんのいう「怖れていた世界は、優しさと愛で溢れて」いて、たくさんの人が彼女のために祈っていたことを知りました。
反論する値打ちもない嫌がらせや中傷記事に、憤った自分の浅はかさを思い知った次第です。彼女は(たぶん)一顧だにせず、さりとて恐れず堂々と、多くの人に励まされながら励ますメッセージを発信し続けたのでした。彼女はきっと美しく、笑顔が素敵で心が強いだけでなく、聡明であった女性としても、永く記憶に留められることでしょう。
麻央さん、あなたをいつまでも忘れません。千秋楽まで頑張ってください!
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