G20ハンブルクサミット、安倍首相は埋没?

「トランプvsメルケル」の構図が鮮明に

そもそもG20サミットは、これまでもっぱら秋に設定されていた。ところがドイツは9月24日に総選挙を予定している。そこで会議の日程を前倒しして7月7~8日に設定した。直前の5月26~27日にはG7が予定されていて、窮屈な日程とはなるけれども、とにかく外交上の成果を選挙につなげたい腹なのである。

そしてイタリアでのG7タオルミーナサミットで米国のドナルド・トランプ大統領と会ったメルケル首相は、「ダメだこりゃ」と脱力したらしい。米国はもはや頼むにあらず。しかもトランプ大統領は、その直後にパリ協定からの離脱を宣言してきた。気候変動問題こそは、メルケル首相のライフワークである。2007年のG8ハイリゲンダムサミットで議長を務めたときも、このテーマを取り上げている。今年は11月にCOP23(気候変動枠組条約第23回締約国会議)をドイツのボンで主催することにもなっている。

なんとも難しい舵取りを迫られる安倍首相

おそらく今のドイツ国内の雰囲気ならば、トランプ大統領をたたけばたたくほど票になる。そこでメルケル首相は周到にトランプ包囲網を形成した。まずG20の議題には、貿易、移民、気候変動、アフリカ支援、女性の地位向上など、トランプ大統領にけんかを売るようなテーマをずらりと並べた。

また、会場となるハンブルクは国際港湾都市で、世界有数の貿易港。普通だったら警備が大変で、下手をすれば2001年のジェノバG7サミットのように反グローバル派のデモ隊と衝突騒ぎになりかねない。ゆえに近年のサミットは、警備が楽なリゾート地で行われることが多かった。しかるにリベラルな価値を体現するメルケル首相は、「反対デモをやりたい人は遠慮なくやってよし」と言わんばかりの太っ腹体制を敷いたのだ。

さらにG20サミットの前日に、日欧EPA(経済連携協定)の大枠合意というニュースを用意した。保護主義のトランプ大統領の目の前で、日本とEUが自由貿易でガッチリ握手、という構図を作ったわけで、これまたお見事というほかはない。この協定、ハッキリ言って日本側がお得な内容になっている。

かくしてG20サミットでは、「トランプ対メルケル」という基本線ができた。安倍首相としては難しいところで、自由貿易や気候変動の問題ではメルケル首相に乗りたい。でないと中国の習近平国家主席にいい顔をされてしまう。ところが北朝鮮の問題もあるから、トランプ大統領の顔を潰すわけにもいかない。経済ではメルケルだが、安保ではトランプ乗り。なんとも難しい舵取りを迫られることになる。

いずれにせよ、G20サミットは多数のメンバーが入り乱れて外交得点を競うバトルロイヤルだ。安倍首相のお手並み拝見ということになる。

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