北朝鮮「ICBM発射成功」は巨大災厄をもたらす 米本土「射程入り」にトランプはどう応じるか

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1つ目は求心力。核ミサイル開発は北の国威発揚や国防力の強化につながり、金正恩氏が求心力を高めて独裁体制を維持するのに必要不可欠になっていること。

2つ目は交渉力。アメリカに北朝鮮の核戦力を見せつけ、「北朝鮮と交渉のテーブルにつかなければ」と思わせるほど交渉力を高めること。北は体制維持のため、現在の朝鮮戦争の休戦協定に代わり、米国との不可侵協定や平和条約を結ぶことを目指している。

3つ目に抑止力。核保有国としての抑止力を高め、外国にいかなる軍事行動も思いとどまらせること。イラクのサダム・フセインやリビアのカダフィ大佐の二の舞には決してならないと金委員長は思っている。

4つ目に朝鮮半島統一のための手段。北朝鮮は朝鮮半島への米国の軍事介入リスクを排除したうえで、北朝鮮主導で南北統一と民族統一をなし遂げようとしている。北朝鮮は長期目標として労働党規約と憲法にあるように朝鮮半島を統一することを目指している。金正恩氏の言葉で言えば、「祖国統一の革命偉業」にあたる。

非核化に向けた対話を一切拒否する姿勢

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、1950年6月の朝鮮戦争勃発から67年を迎えた25日、その社説で「われわれの自衛的な核抑止力はいかなる交渉の対象にもならない。米国と南朝鮮(韓国)は『北朝鮮の核放棄』という野望を捨てなければならない」と述べ、非核化に向けた対話の呼びかけを一切拒否する姿勢を明確にしている。要は、国際社会は北朝鮮を核保有国として認めろ、という姿勢だ。

また、韓国の文在寅大統領が金大中・盧武鉉政権の対北外交路線を引き継ぎ、「太陽政策2.0」を展開し、南北対話を主導していく考えを示すなか、北朝鮮は核ミサイル問題については、韓国とは議論せず、米国と直接対話していく方針を示している。

北朝鮮に対し、手詰まり感のあるトランプ政権は今後どのような策にでるのか。筆者は北朝鮮にとって致命的で生命線となっている中国からの石油供給停止を、習近平政権に対して強く求めていくのではないかとみている。

高橋 浩祐 米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

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たかはし こうすけ / Kosuke Takahashi

米外交・安全保障専門オンライン誌『ディプロマット』東京特派員。英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』前特派員。1993年3月慶応義塾大学経済学部卒、2003年12月米国コロンビア大学大学院でジャーナリズム、国際関係公共政策の修士号取得。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターなどを歴任。朝日新聞社、ブルームバーグ・ニューズ、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、ロイター通信で記者や編集者を務めた経験を持つ。

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