日本には、なぜ「名演説」が存在しないのか

イェール大学で教えた日本人2人が語る

浜田:僕が考えたのは、塾ではとにかく、ほかの留学生とコミュニケーションを深めること。アメリカでは、中国や韓国はじめアジアの近隣国の人たちとも話し合う機会があるわけです。アジアの留学生と日本人とが自由に集まり、それにアメリカ人も加わって、お互いに理解し合えるような場があったらいいなと考えました。

何かを教え込むとか有名な人の話を聞く、また、プレゼンの英語がうまくなるよりも「イェール関係者のサロン」というかたちで、若い人たちが一緒に議論、ディスカッションできる場をつくるほうが重要だと思ったのです。ただ、今は日本への出張が多くなって十分実現できていませんが。

浜田宏一氏(撮影:今井康一)

外国で教育を受けた人と日本で教育を受けた人との大きな違いは、興味や関心のあることについて、自分からどんどんしゃべることができるかということです。日本の教育システムでは、大学入試などに向けて論理を理解し、計算も速く正確に行う訓練を受けます。そこでいちばん能力を高めた人がいちばんプレステージのある財務省とか経済産業省などに入る。しかし、たとえば外交交渉は、歴史をよく覚えられた人や英会話がうまい人が上手にできるわけではない。

斉藤:私がイェールで卒業論文を指導した学生の6割くらいは中国出身の学生でしたが、東アジアで高校までの教育を受けた人には、思考に一定のパターンがあるように感じます。それは日本もそうで、みんな物知りなんですが、論理を構成して理論的に仮説を立てて検証するという作業が苦手な学生が多いんですね。

失敗を恐れずどんどん話す精神力を身に付けよう!

斉藤:東京大学で日本語を勉強しているアメリカ人に言われて気づいたんですが、ジョン・F・ケネディの就任演説やバラク・オバマの広島演説など、英語には名演説がいっぱいある。

でも、日本語には名演説がなかなかありません。「五箇条の御誓文」など、書かれた文章で名文はあるんですが……。

浜田:安倍晋三総理も、演説ではアメリカ大統領と同様にスピーチライターがいますが、英語の論文のほうがきちんとしています。オリンピック誘致の際のスピーチなど、安倍総理はけっこうきちんとプレゼンされていましたが。

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