NEC株主、「談合と業績不振」に不満が大爆発 相次ぐ怒りの声、修正動議も飛び出した

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「ソフトバンクグループの株主でもある」と語った株主からは役員構成に対する批判があった。「ソフトバンクの取締役は4人が日本人、残り7人は外国人だ。孫正義社長は中国アリババのユン・マー会長などからICTの最新情報を仕入れている。NECの取締役はプロパーの持ち上がりか、住友系などいわばお身内ばかり。これではICTの最新情報が経営に生かされない」。

取締役を対象(社外取締役は除く)とした業績連動型株式報酬制度の導入案や、単元株式数の変更に伴い10株を1株に併合する株式併合案でも反対意見が出た。「株価が低迷している今やるべきことではない。業績や株価が回復してからだ」との声があった。

そのほか、「かつて5兆円台だった売上高は今や3兆円を割り込んでいる。前期は5割減益、ROEはわずか3%台と惨憺たる状況だ。3兆円台だった時価総額は1兆円を下回っている。日経平均は2万円台を回復したのにNECの株価は低迷、配当も1株6円と少ない」。株主からは業績や株価の低迷を厳しく指摘する声が相次いだ。

修正動議にしどろもどろ

議案の内容変更を求める「修正動議」が出される場面もあった。

株主は「社外取締役5人のうち4人が株を持っていないのはおかしい。NECをよくするつもりなら株を持つべきではないか」と質問。遠藤会長は「世の中には『社外取締役は株を持つべき』という考え方と『独立性を保つために持つべきではない』との考え方がある。NECは後者だ」とした。

株主からは厳しい質問が相次いだ。新野社長は業績を上向かせることができるのか(撮影:尾形文繁)

説明に対し、株主は「社外取締役のうち1人は株を持っているのだから、説明に整合性がない。業績連動報酬制度の導入でも社外取締役を含めるべきだ」と反論。「今の意見は修正動議か反対意見か」と遠藤会長が聞くと、株主は「修正動議とします」と答えた。

突然の事態にしどろもどろになりながらも、遠藤会長は原案の採決を実施。「原案通り可決されました。従いまして修正動議は否決されました」と説明した。

午前10時に始まった総会が終了したのは12時13分。昨年より34分長く、質問者は4人多い13人、質問数は4問多い19問だった。一方で、出席した株主は昨年より70人少ない630人だった。

総会の通知書と会場の案内板には「記念品のご用意はございません」とあった。「来年は『記念品はございませんが株価で報います』と書いてくれ」。株主にそう言われると、新野隆社長は複雑な表情を浮かべていた。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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