「食の自動化機械」、人手不足を背景に熱視線 日本の中小メーカーが食の現場を支えている
人手不足だけがこうした機械を導入する理由ではない。
「ご飯を盛るのは誰でもできると思われるかもしれませんが、手早く、ふんわり、正確な分量を盛るのは意外に難しいのです」(小野寺課長)
基準の分量に比べ数グラムずつ多く盛ったとして、1日に何万食も出る大手牛丼チェーンならば原価に大きく響いてくる。
松屋フーズは1980年代後半にご飯の盛りつけ機を導入し、機械の改良に応じて入れ替えてきた。現状、約9割が鈴茂製の盛りつけ機を使っている。
鈴茂は、不二精機(福岡市・非上場)が圧倒的なシェアを誇るおにぎり加工機も強化。さらにのり巻きをアレンジした「ライスブリトー」をアピールすることで海外市場にも力を入れる。
ジャスダックに上場する鈴茂の業績は好調だ。8期連続増収、3期連続増益で、2017年3月期は最高益を更新している。
包あん生成機で成長
包あん成形機大手のレオン自動機(宇都宮市)のブースでは、小規模な和菓子店で使われるような小型の包あん機から1ラインであんパン、クリームパン、メロンパンといった多様な形状の菓子パンを成形できるラインなどが並ぶ。
もともとまんじゅうを包む機械からスタートした同社は、肉まんやあんまんの成形機では独占に近い。1台で菓子パンやハンバーグなど多用途に対応できる機械に強みを持つ。
コンビニなどが新製品を開発する段階で、作り方も含めた提案力を磨くことで、この4~5年で売上高は1.5倍に拡大している。
「人手不足に加え、安全衛生への意識の高まりが追い風になっている」と執行役の宮岡正管理統括部長。髪の毛など異物混入があれば、何万個もの回収を迫られる食品メーカーの自動化ニーズは年々高まっている。
海外も中長期で確実に伸びている。今後の期待は東南アジアだ。人件費の上昇、電気や冷凍冷蔵庫が普及し、包あん機を売り込みやすい環境になってきた。食材メーカーとコラボした現地での展示会開催などでさらなる売り込みを図っていく。
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