「食の自動化機械」、人手不足を背景に熱視線 日本の中小メーカーが食の現場を支えている

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ニッチ領域に特化した面白い機械が多かったのもこの展示会の特徴だ。

コジマ技研の串刺し機。さまざまな食材に対応する(記者撮影)

コジマ技研(神奈川県相模原市)は、串刺し機で90%近い国内シェアを誇る。1時間に500本の能力を持つ卓上機(60万円台)から工場などで使用される1時間1万本の能力を持つ大型機(数千万円クラス)まで幅広いラインナップを持つ。

冷凍肉から、串の太さとほとんど変わらない薄さの柔らかな食材でも正確に、疲れ知らずで串を刺す能力は人間にはマネができない。

ボンジリの脱骨機から豚足の脱毛機まで

食肉機械を扱うマトヤ技研工業(鹿児島県)の自慢は、鶏のボンジリの自動脱骨機の新型だ。

ボンジリの脱骨機。肉のカット機能も備えた(記者撮影)

よく動かすため、筋肉が発達しているボンジリは、通の間で味が良い、と人気の部位だ。ただ、尾骨の回りにわずかしかない肉を取るのは、労力と熟練の技を必要とする。

昨年、ボンジリの骨を抜く機械を発売。「引き合いは多かった。さらに、肉をカットする機能を加えて欲しいという要望が多く寄せられた」(益留福一社長)。そのため、今年は脱骨に加え、5種類のカット機能を持たせた。

豚の内臓の切開機。海外へも輸出している(記者撮影)

同社は豚足の脱毛機、豚や牛の内臓の切開機など、食肉関連でも特定用途向けの機械を開発し、海外へも輸出している。欧州の酪農国などにライバルメーカーはいるが、「細かい機能は海外メーカーにはないし、品質も良くないため、負けることはない」(益留社長)。

馬場鐵工所(石川県)が開発したのは、ジャガイモの芽を取るロボットだ。ロボットアームがジャガイモをつかみ、カメラとセンサーで芽の位置を確認してドリルで削除する。二台のアームを使うことで芽を漏らさず切除する。

ジャガイモの芽は毒素があるため取り除く必要がある。一般の皮むき機で芽を取ろうとすると削る量が多くなり、歩留まりが悪くなる。人手不足が強まる中で人間に頼ってばかりもいられない。

芽を取る機械は他にもあるが、芽だけをきれいに取れるのが特徴。ロボットアームとドリルを組み合わせる同社の方式は「調べてみたが、先行特許はない」(馬場博邦取締役)。菓子メーカーやでん粉メーカーなどから引き合いが来ているという。

見回すと一般に知られた企業はわずかで、大半は知名度が低い中小企業。だが、彼らの工夫と情熱が生み出すさまざまな機械が、毎日の食を支えている。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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