ソニーの株主総会で噴出した「不満」の中身 業績回復に対する感謝の声は多かったが…

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縮小

また前期、映画事業がブルーレイディスクなどの市場縮小によって1000億円を超える減損損失を計上したことを受けて、「映画事業は主力事業としてやっていけるのか。連結から外す意思はないのか」との質問も出た。

これに対し平井社長は「映画はソニーの中核の1つに位置づけている。映画の興行だけでなく、テレビ番組制作やネットワークなども合わせて成長エンジンになる」と述べた。

さらに、「映画作品がヒットするかしないかで業績が左右されてきたが、足元では映像コンテンツを楽しむ機会が映画館やブルーレイディスク以外にも増えている。タブレットやスマホ、PCなどさまざまなアクセス方法が広がっている。するとこれまで蓄積されてきた映画の資産が生きてくる」と説明。映画を連結から外す可能性を真っ向から否定した。

“ソニー”は英語の発音としておかしい?

平井一夫社長。写真は5月23日の経営方針説明会(撮影:今井康一)

株主総会らしい変化球の質問もあった。「SONYを英語で発音すると“ソゥニー”だが、日本語の社名は“ソニー”。英語の発音としておかしいと英国人の友人が言っている。変えるつもりはないか」。

平井社長は「シンプルな文字の組み合わせでも、言語によって読み方が変わってくるのは避けられない。ソニーは東京通信工業という社名でスタートしたが、創業者の井深(大)と盛田(昭夫)が議論した結果、完璧には(英語の発音に)一致しなくても発音しやすい社名として選んだ。息子という意味の英単語”son”と(晴れているという意味の)“sunny”を合わせて誕生したとも聞いている」。

そして、「日本では“ソニー”で親しまれている(ので変えるつもりはない)。どの言語でも”SONY”と言えば認識してもらえる社名なんじゃないか」と冷静に切り返した。

なお、今年の株主総会の出席者は1998人と前年から269人減った。株主からの質問数は13問。そのうち9問に平井社長が早口で回答した。取締役の選任など2つの議案が承認された後、例年並みの1時間30分で総会は終了した。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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