仕事が遅い人は「着手する順番」が誤っている 誤った「ボトムアップ思考」が問題だ

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一方で(意識していないにせよ)「トップダウン思考」ができている人は、5分、10分立ち止まって、ホワイトボードに〈全体像・原因・やること・担当者名〉を冷静に書き出し、情報を整理してから取りかかっています。

もし私がトラブルに遭遇したら、まずホワイトボードに

□プログラム修正 14:00~15:00 佐藤
□テスト 15:00~16:00 佐藤
□レビュー 16:00~16:15 山田
□リリース申請書作成 14:00~14:15 山田
□プログラムリリース 16:15~16:30 太田

などとやるべきことを書き出し、できたところから✓をいれていきます。

ちょっとしたことですが、慌てずにこういう行動ができる人のチームは、よりスムーズにトラブルを解消できています。それは、情報を整理することで、やるべき作業の総量が激減し、確実に短時間で対応できるからです。慌てて見切り発車をするよりも、5分、10分立ち止まったほうが、より早くゴールにたどり着けるという好例です。

私はときどき、プロジェクトのメンバーに「走るな!」という指示を出すことがあります。あるいは、「仕事を頼まれたときには、まず手を止めろ。パソコンを閉じろ」と。

ひと息おいて俯瞰(ふかん)して考えるクセをつけるときには、ノートパソコンを閉じる動作を取り入れることも有効です。閉じたパソコンが目に入ってくると、脳に視覚的に「立ち止まれ!」とインプットされるからです。

時間的な全体像もトップダウン思考でとらえる

仕事の時間軸も、トップダウン思考で考えてみることをおすすめします。

たとえば、先ほどの障害対応のような緊急事態においては、徹夜や週末対応をしないといけない局面もあります。

ただし、人は、何日も続けて無理をすることはできません。今日明日だけのことを考えるのではなく、1カ月、3カ月のスパンで考えて、「今日が頑張りどころだから、ちょっと無理しよう」「3日後に山場が来るから、そのために今は無理をしないで体調を整えておこう」という見極めも必要です。

仕事の進め方で適切な判断をするためには、時間的な全体像を把握する必要があるのです。

次ページ限られた時間の中で最大限の結果を出し続けるには
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