長寿ヒット「グラブル」生んだゲーム会社の妙 サイバーエージェントの「親孝行子会社」とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

加えて6月にはサイゲームスとして初の海外現地法人を韓国に設立。韓国のゲーム市場は現状、日本の半分ほどの規模しかない。ただ世界でも「eスポーツ(ゲームの対戦競技)」の普及が進んでいる国の一つで、盛り上がりが期待できる。これまでのように、日本で展開する既存ゲームを翻訳して配信するだけでなく、市場調査を基に現地化したサービス展開を進める方針だ。

海外展開を考慮した緻密な工夫

ゲームに対する好みや消費のされ方は、各国でかなり異なっている。『シャドウバース』は開発段階からそうした好みの違いを考慮し、ゲームの機能をシンプルにした。

世界150カ国以上で展開しているゲーム『シャドウバース』(© Cygames, Inc.)

たとえば、細かな好みの違いに対応していてはキリがないので、ストーリーを細かく枝分かれさせない。アプリの頻繁な更新は海外で好まれないため、頻度を減らす。時差があるため、ユーザー同士がチームを組んで戦う機能を省く。こうした海外展開を前提とした工夫を盛り込んでいる。

中長期で、売り上げや利益に占める海外比率の目標はあるのか。木村常務は「そういう比率を考えていると、ヒットは生まれない」と断言する。「今後海外に力を入れていくのは確かだが、目先の数字を追うと拙速な展開になってしまう。きちんと現地に受け入れられるよう、1本1本いいものを作るのみだ」(同)。

海外で大成功を収めた日本発のスマホゲームは、あまり例がない。あえて明確な目標を定めないサイゲームス流は、海外でも通用するだろうか。勝負はこれからだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事