グーグルが生んだ「自動運転車」に乗ってみた 黎明期から開発にかかわるエンジニアを直撃
蓄積されたデータをもとに自動運転に必要なアルゴリズムを洗練させてきたソフトウエアの開発チームは、こう思うようになった。「ソフトウエアの機能を最大限に発揮させるためには、より高度なハードウエアが必要だ」。
昨年12月、欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が製造・販売するミニバン「クライスラー・パシフィカ」をベースにした自動運転車を発表した。ウェイモが強調したのは、走行中に周囲の状況を把握する「LIDAR(ライダー)」と呼ばれるレーザースキャナーなど、センサー技術を向上させたことだ。
「過去には他社が手掛けるセンサーを使っていたこともあったが、機能や要件がわれわれの求めるものではなかった。だから自社開発を始めた」とチャタム氏は振り返る。そのためにウェイモは、グーグルに多いソフトウエアの技術者だけでなく、ロボティクスや機械工学の専門家を自動車メーカーやNASA(米航空宇宙局)などから引き込んできた。
”ぐるぐる回る”センサーが最も重要
パシフィカに搭載されているライダーは3つの種類に分けられる。車の屋根に取り付けられた黒いドームの中に、360度の周囲を認識するものと、遠く離れた先までを認識するものが入っている。車の四隅や前後に取り付けられているのは、屋根のライダーの死角となる至近距離のものを認識するライダーだ。中に入っているセンサーがぐるぐると回っている。
ソフトとハードを実際の車に組み込む上では、製造元の協力が必要だった。システムの指示を、ステアリングやアクセル、ブレーキといった制御装置にスムーズに伝えるための調整作業は、「FCAとの共同作業が欠かせなかった」(チャタム氏)。以前のプリウスやレクサスRXの試作車の開発は自力だったため、「パシフィカに比べればかなり荒削りだった」(同)。
ウェイモは昨年末、日本のホンダと自動運転の共同研究に向けた検討を始めたと発表した。あくまで「検討の開始」であり、まだ具体的な内容は明らかになっていない。チャタム氏も「彼らとは協議を続けているが、まだアナウンスできるものはない」と述べるのみだ。
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