「売れすぎスバル」を悩ます次世代車開発競争

まもなく就任7年目、吉永泰之社長に直撃

――中規模でありながら、アイサイトで予防安全技術に関しては他社に先行した。だがこの分野の競争も激しくなってきた。優位性をどのように保つのか。

今までのアイサイトが時速65キロメートル以上で車線を維持しながら自動追従走行ができたのに対し、2017年内に出てくるバージョンアップされたアイサイトは、0キロメートルから車線維持と追従ができるようになる。実際に乗ってみたが、これはすごくいいものに仕上がっている。

2020年に向けて、高速道路での車線変更や追い越しが可能な自動運転機能を開発している。アイサイトの強みは10万円という価格だ。カメラやセンサーを山のように付けて20万~30万円で高い精度の自動運転を実現するのではなく、10万円の中で高い性能を発揮することに優位性がある。スバルはプレミアムなブランドではない。手が届く価格で優秀な安全性能が発揮できることが価値になる。

規模拡大とともにリコールが増えている

吉永泰之(よしなが・やすゆき)/1954年生まれ。1977年富士重工業(現SUBARU)入社。2007年からスバル国内営業本部長として低迷する国内販売を立て直す。2009年取締役兼専務執行役員を経て、2011年6月から現職。

――好調を維持して10年弱成長を続けるというのはあまり例がない。業績が踊り場に差し掛かった今こそ、気を引き締める部分はあるか。

社内が有頂天になっているとは思わないが、やはり調子に乗ってしまうのは困る。一番気を付けているのが、品質だ。スバルは安全・安心をブランドにしている。それらを担保するはずの品質で何か問題が起きたら、そのブランドは一発で崩れる。販売は今後も堅調だが、もし何かで足をすくわれるとすればそれは品質だろう。

タカタ製エアバッグの品質問題でリコール費が膨らんでいるので目立たないが、実はそれを除いたスバルとしてのリコール費も増えている。規模が大きくなったときに品質を担保できる実力があるのか。リコールが増えていることを踏まえながら、本当の実力を見つめ直してほしいと少し頭を冷やすような話もしている。

――CFO(最高財務責任者)の高橋充専務や技術担当の武藤直人専務が6月の株主総会で退任するなど、経営陣の一部で世代交代が始まっている。吉永社長自身も就任7年目に突入する。

今は業績も販売も、非常に良くなっているタイミングだ。開発や生産、品質といった各部門の担当者など、私と同世代の非常に優秀な人が集まっているからここまで来れた。

一方で役員全員で若返りをしないと、その弊害がこの先に出てくるだろう。自分を含めて若返りを始めないといけない。(後継者を育てるために)今考えているのが6~7人の塊をつくること。社長1人が優秀であればいいというものではない。技術、生産、品質、営業などそれぞれの分野から6、7人が集まり、塊になる。社長はその中で誰か1人を選ぶことになるが、まず、この塊を作っておかないことには話にならない。

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読売新聞主筆として93歳の今も、社論をまとめる要の役割を果たしている渡邉恒雄氏。安倍首相と定期的に会食するなど、なお政治のキーマンでもある。歴代の首相を知る同氏は現在の政治とメディアをどう見ているのか。本誌編集長がインタビュー。