《対決!世界の大空港4》中国・北京/上海 航空自由化へカウントダウン、激安に火花散る中国の空

中国は従来、旅客・貨物を問わず航空機の離発着を規制してきた。だが韓国・仁川空港の攻勢もある中、04年の米中間の航空協定調印で貨物市場が部分的に自由化、物流大手はハブ施設建設が可能になった。

この航空協定は、米中間での航空自由化(オープンスカイ)協定締結に向けた布石だ。米国は長く中国に対して航空自由化を求めており、07年5月の米中政府間の戦略経済対話では10年にいよいよ自由化交渉を本格化させることで合意している。その前段階として、現在は米国から中国への旅客便数を1日1便ペースで増加させているところだ。

もちろん交渉の難航は予想される。だが、国航の樊副総裁は「自由化は時間の問題。対米だけでなく、どの国とも早晩自由化されるだろう」と話す。ただ日本については、「東京の発着能力が乏しいのが大きな失点。10年の羽田空港拡張時を逃せば、“中国パイ”は他国に与えられる可能性が高い」(中国のエアライン関係者)という冷ややかな見方が出ている。

自由化間近という認識の下、中国では待ったなしの航空再編が進んでいる。07年11月、海南航空など4社が合併、南方航空、国航、中国東方航空に続く4位企業として再スタートを切った。競争激化の時代に備え中堅層が団結したのだ。

さらに08年に入り、外資も交えた再編の綱引きが始まった。

路線急拡大で業績悪化した中国東方航空にシンガポール航空が1月、25%出資を申し出たが、上位株主の国航などの反対で断念する結果に終わった。その後、国航は東航に増資引き受けなど提携案を示し傘下への招き入れを図ったが不成功に終わっている。

シンガポール航空の周俊成CEOは5月の本誌インタビューで「(東航とはまだ)事業提携などできないか話し合っている」と語った。アジアの業界リーダーも国際間の大競争時代を控え、十数億人の移動需要が期待できる中国への勢力拡大を狙っているのだ。

世界の注目を集める中国の航空業界だが、実は深刻な成長課題も抱える。慢性的なパイロット不足だ。民間調査によると年間にパイロット1000人の需要増がある一方で、国内の養成機関から送り出されるのは半数。毎年500人規模のパイロット不足が発生している計算だ。

すでに一部のエアラインでは、ブラジル人や台湾人のパイロットを招聘雇用する試みが広がっている。また、80万元(約1280万円)もの破格の年俸を示し競合エアラインからパイロットを引き抜き、引き抜かれたほうも高額賠償を求めて民事訴訟で応酬する泥仕合も勃発。このままでは、中国業界の強みの人件費安も維持できかねない状態だ。

成長のひずみを露呈しつつも、世界の航空競争の主戦場の一つになりつつある中国。そこに日本の居場所が築けるか、視界は不良だ。

(週刊東洋経済)

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