成田パッシングの急先鋒、日中制覇に動く 《対決!世界の大空港3》ソウル・仁川

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 スイスイ進む仁川乗り継ぎ 成田経由は荷物と時間に苦しむ

上図を見てほしい。ここでは、先ほどの新潟日報旅行社の新潟発着のスイス・チューリヒツアーを例に取ってみた。ケース1の新潟-チューリヒというプラン比較がそれだ。このツアーの行程は、いちばん上のソウル経由というプランだ。ツアー客の乗った大韓航空は仁川に午前11時45分に到着。そのわずか2時間後の午後1時55分発のスイス・チューリヒ行き大韓航空に乗り換え、午後6時45分に現地に到着する。乗り継ぎが少なく、図解からもすっきりしていることがわかる。

一方、これが成田経由だと、どうなるか。一般的に使われる行程として考えられるのは、図のように早朝6時3分新潟発の新幹線に搭乗するプランと、前日夜に夜行列車「ムーンライトえちご」で向かうプランだ。

仁川経由と成田経由の利便性の差は、図を見れば一目瞭然だろう。成田経由では、いずれの場合にしても時間が余計にかかるのはもちろんだが、重い荷物を持って移動を繰り返すことは何よりも苦痛だ。特に東京駅や新宿駅、さらに成田空港内で、その苦しみが襲うことになる。

これが仁川経由であれば、単に時間が短縮できるだけではない。自宅から車で向かった新潟空港でチェックインし荷物を預ければ、あとは最終到着地のチューリヒまで荷物を運ぶ必要がない。

同様に、こちらも地元で人気が高い岡山-ロンドンツアーの比較プランも作ってみた。仁川乗り継ぎの場合の便利さは、新潟-チューリヒと同じ。乗り継ぎがスムーズで時間が効率的なうえ、一度岡山空港で荷物を預ければ、ロンドン到着まで荷物をピックアップする必要はない。

反対に、成田乗り継ぎの場合、国内線の羽田空港と成田の距離が離れているデメリットが一気に噴出する。仁川乗り継ぎより、岡山を3時間弱早く出発しなければならないうえ、羽田で荷物をピックアップしてバスや電車で成田に移動。さらに成田でチェックインをして荷物を預けるという苦痛が伴う。

これほどの違いがあっても、新潟-チューリヒ、岡山-ロンドンともに、運賃はほぼ同水準だ。

こうした利便性の高い仁川と路線を結んでいる日本の地方空港はすでに22カ所を数える。一方、成田と直接結ぶ路線を持つ地方空港はわずか6カ所しかない。旅行会社のホームページでパッケージツアーを検索してみると、地方発着のツアーは成田や関西を経由するものより、地元の空港から仁川に出るものが主流になってきているが、それも当然だろう。

特に顕著なのが西日本だ。福岡空港は成田行きの便が比較的多く出ているが、それでも選択肢は1日2回しかない。一方の仁川行きは倍以上の1日5便。しかも福岡の人からすれば、成田よりも仁川のほうがフライト時間も短い。こうしたケースは九州全域や中国、四国地方にも及んでいる。ある航空関係者は、「西日本は完全に仁川空港が制覇した」と分析する。

また近年、日系航空会社が成田から海外の就航都市で増やしているのは中国程度で、全体では就航都市を減らしている。それに対し、韓国の航空会社は着実に年に数カ所ずつ仁川発着の就航都市を増やしている。

日本からは直行便がないが、ソウルからならダイレクトに飛べる、という都市は多い。韓国系航空会社は、中国や極東ロシア、東南アジアや中央アジアまで、きめ細かく路線網を張っている。これがハブ空港とマッチして利便性向上につながっているのだ。

 

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