「父親の無関心、母親の情報力、祖父母の財力」がカギ、”ごく一握りの勝者と大量の敗者”を生み出す≪韓国の激烈な学歴社会≫の弊害とは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「孫を良い大学に入れる条件」として、韓国人が口をそろえるのは「父親の無関心、母親の情報力、祖父母の財力」だ(写真:EKAKI/PIXTA)
ことし6月に大統領選挙を控える韓国。
昨年末にユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領が「非常戒厳」を宣言して以来、混乱が続いています。
なぜこのような事態が起こってしまったのでしょうか。
韓国社会の闇に朝日新聞元ソウル支局長が迫った新著『韓国大乱』では、占いや宗教にすがる人々、熾烈な学歴競争など韓国社会の病理を描き、今後の日韓関係、東アジア情勢を解説しています。
本稿では同書から一部を抜粋しお届けします。

激烈な学歴社会の弊害

尹錫悦大統領は2023年11月2日、初めて開かれた「地方自治と均衡ある発展の日」の記念式典で「教育革新は地方が主導すべきだ」と述べ、教育に関するさまざまな権限を地方に移す考えを示した。その数日後、韓国の地方大学で教える知人と面会した。知人が語る地方大学の現状は、深刻で悲惨なものだった。知人は元外交官。

韓国では地方の大学を活性化するため、中央政府の元高級官僚に講義を依頼している。ソウルに住む知人は月に300万ウォン(約30万円)の報酬と引き換えに、月曜日から木曜日までを地方で過ごしている。

知人は会うなり、ため息をついてこう言った。「日本には『Fランク大学』(入学する難易度の低い大学)という言葉があるんだろ。韓国ではそれを、チバンテハッキョ(地方大学)というんだ」。

知人が教える地方大学は1学年500人で計2000人。この大学では1年生の学費は無料だ。減収分を、韓国政府からの補助金やモンゴルやベトナムなどからの留学生が支払う授業料でまかなっている。中国関係の学科だけは、中国の姉妹大学との間で2年間、無料で交換留学ができる。さまざまな特典を与えて、なんとか定員を保っている。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事