「父親の無関心、母親の情報力、祖父母の財力」がカギ、”ごく一握りの勝者と大量の敗者”を生み出す≪韓国の激烈な学歴社会≫の弊害とは?

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また、韓国では「親の責任」が長くついて回る。海外暮らしが長かった60代の元外交官は「アメリカの場合、親の責任は子供を大学に入れるまで。子供は大学の入学金を自分の責任で支払う。親も気が楽だから、子供を持つことにそれほど抵抗がない。それに比べ、韓国は延々、子供の面倒を見る羽目になる」と語る。

韓国では、子供が結婚する際、親が結婚式や新居の費用まで面倒をみるケースが一般的だ。韓国では長く、共働きが定着している。社会制度の不備を補うため、夫婦が働いている間、双方の親が孫の面倒を見ることも多い。

さらに、「孫を良い大学に入れる条件」として、韓国人が口をそろえるのは「父親の無関心、母親の情報力、祖父母の財力」だ。前述の元外交官も「いつまで経っても、子供の面倒をみる羽目になる。だから、子供を持つことが負担になる」と語る。

一握りの勝者と大量の敗者

韓国のメディアで働く30代の未婚女性は「私もいずれ、結婚することになると思う。でも、背負わなければいけない巨額の教育費や将来への負担を考えると、夫になる人に子供を持ちたいとはとても言えない。こんな熾烈な学歴競争はやめてしまえばよいと思うが、周りをみて、自分の子供にだけやめさせる勇気がどうしても出てこない」と語る。

その結果、ごく一握りの勝者と大量の敗者を生み出す。韓国の地方大学で教えている知人が韓国外交省に入った1980年代、キャリア外交官の出身校は、半分が名門国立のソウル大、3割がソウル大に並ぶ難関大学の延世大と高麗大、残りが韓国外国語大などだったという。

ソウルの「3国大」と呼ばれる建国大、東国大、国民大といった中堅校ですら、希望の職種に就くことは容易ではない。知人は「あまりに厳しい競争なので、修能(大学入試)の結果が一生、レッテルとしてついて回ることになる」と語る。韓国では敗者復活はあり得ない。

だから、地方大の大半の学生はやる気をなくす。日本のように、あえて生まれ育った故郷で暮らしたいと考える大学生もほとんどいない。幕藩体制で地方が発達した日本に比べ、朝鮮王朝時代から中央集権が続いた韓国は、地方に特色が少なく、インフラもソウルより格段に落ちる。地方大に進まざるを得なかった学生は、そこでやる気をなくす。

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