米GM、不振の中国事業に「トランプ関税」追い打ち 中国合弁会社の完成車の対米輸出に深刻な影響

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GMは中国の合弁会社の工場で組み立てた完成車の一部をアメリカに逆輸入してきた。写真は上汽GMが生産する「ビュイック・エンビジョンS」(ビュイックのウェブサイトより)

アメリカのトランプ大統領が仕掛けた対中貿易戦争が、アメリカ自動車大手GM(ゼネラル・モーターズ)の中国事業を苦況に追い込んでいる。

GMと中国の国有自動車大手、上海汽車集団(上汽集団)の合弁会社である上汽GMは、中国で現地生産するクルマの部品の一部をアメリカから輸入している。と同時に、上汽GMは組み立てた完成車の一部をアメリカに輸出してきた。

トランプ政権が中国からの輸入品に145%の追加関税を課し、中国政府がアメリカ製品に125%の報復関税をかけた結果、上汽GMは輸入と輸出の両面で大きな影響を受けることになった。

「合弁パートナーの間で対策を協議している」。上汽GMの盧暁・総経理(社長に相当)は4月22日、メディアの取材に対してそう述べた。

輸出の8割がGMとフォード

上汽GMは1997年に設立された老舗の合弁会社であり、中国で生産しているクルマの部品の現地調達率は95%に達する。

「アメリカ製などの輸入部品の比率は小さいが、わが社は関税の影響を緩和するために対策を講じる。中国市場で販売するクルマは値上げしない」。盧総経理はそう強調した。

だが、影響がより深刻なのは完成車の対米輸出だ。上汽GMは2015年から一部の完成車をアメリカに輸出してきた。盧総経理によれば、2025年1~3月期の輸出の主力は「ビュイック」ブランドの中型SUV「エンビジョンS」だった。

対米輸出の具体的な数量について、盧総経理は明らかにしなかった。財新記者の取材に応じた自動車業界のアナリストによれば、2024年に中国からアメリカに輸出された完成車は10万7000台と前年比6割近く増加。そのうちの約8割をGMとフォードのクルマが占めたという。

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