中華スマホ「オッポとビーボ」が爆走する秘密 中国国内の激しい競争が、メーカーを鍛えた
どの携帯会社の回線でも使える「SIMフリースマートフォン」市場が拡大したことで、最近では日本にもいくつかの中国系メーカーが参入し、注目されるようになった。だが、特に中国には多くのスマホメーカーが存在し、しのぎを削っている。われわれが目にしている中国メーカーは、実はそのごく一部にすぎないのだ。
米調査会社のガートナーが2月に発表した調査結果では、2016年10~12月期の世界スマホ販売台数のトップ5は、韓国サムスン電子と米アップル以外は中国メーカーであり、ファーウェイに次ぐのはオッポ(Oppo)、そしてビーボ(Vivo)のブランドでスマホを販売するBBK Communication Equipmentといった、日本に進出していないメーカーだ。
その後に続くメーカーも、多くを中国メーカーが占めるのではないかといわれている。それほど、われわれがよく知らない中国メーカーが世界のスマホ市場で大きな影響力を発揮している。
ニーズを的確にとらえる、開発のスピード感
なぜ中国メーカーの販売シェアが伸びているのか。それは近年、世界最大ともいわれる中国市場が急成長したことが大きい。だが中国でも、かつてはサムスンやアップルなどの外資系メーカーが市場を席巻しており、地場メーカーの存在はそれほど大きいものではなかった。
地場メーカーが外資系から人気を奪った理由は、現地のニーズを的確にとらえ、それをスマホ開発に生かすスピード感にあるといえよう。
たとえば昨年中国でヒットを記録したオッポの「R9」を見ると、ディスプレーこそ有機ELだがCPU(中央演算処理装置)は台湾の半導体メーカー・メディアテック製の中位機種向けのものを採用するなど、取り立てて性能が高いわけではない。
一方で、R9には2つの大きな特長がある。1つは背面のメインカメラが1300万画素なのに対し、前面のフロントカメラは1600万画素と性能が高いこと。近年中国でも人気が高いセルフィー(自分撮り)を強く意識し、よりきれいに撮影できることを重視した設計なのだ。
もう1つは急速充電だ。R9は通常の4倍の速度で充電できる独自の急速充電機能を搭載し、5分間の充電で2時間分の通話ができることを積極的にアピールしている。基本性能の高さよりも、セルフィーをきれいに撮りたい、スマホをより早く充電して使いたい、といったニーズを確実にとらえたことが、ヒットに結び付いたのだ。
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