DMMが「最強IT集団」をルワンダで育てる意味

東大卒・タンザニア人社員に託された使命

DMMのアフリカ事業には、商社出身者、青年海外協力隊経験者など、日本人・外国人問わずユニークな経歴を持つ面々が多数参画している。だが、今回インタビューに終始流暢な日本語で受け答えをしてくれたカプング氏なしでは、プロジェクトは成り立たなかっただろう。

タンザニア出身のカプング氏。母国にビジネスを持ち帰れないか、つねに模索し続けてきた(記者撮影)

カプング氏はルワンダの東隣に位置するタンザニア出身。高校卒業後に日本の文部科学省が主催する留学制度で来日し、語学学校の日本語研修で1年を過ごした後東京大学に進学。大学院まで6年間、薬学を学んだ。薬学を勉強すればタンザニアに戻って事業化できると考えていたためだ。

だが、それは甘い考えだった。「開発には多額の資金が必要で、途上国でできるようなビジネスではなかった」のだ。

悶々と悩んでいたとき、友人がEC大手の楽天を受けていると知り、興味を持った。さまざまなアイデアを持って入社したが、2年足らずで退社。「アフリカに進出するプランもなく、入社1年ちょっとで自分が事業を起こすことも叶いそうになかった」からだ。その後は医薬品・医療機器関連の開発受託機関に転職した。

DMMのプロジェクトに「飛び込み参加」

再び薬学の世界に戻ったカプング氏だが、「母国にビジネスを持ち帰る」という目標はあきらめていなかった。そんな中で見つけたのが、DMMのアフリカ事業。亀山会長が旗振り役となり、「1人100万円あげるから、使い切るまで現地調査をしてこい」という風変わりな募集を行っているのが目にとまったのだ。

「当時勤めていた会社を本当に辞めていいものかと考えたが、(DMMアフリカ事業の立ち上げは)なかなかないチャンス」。迷いながらもDMMに飛び込む決断をし、アフリカ事業の“100万円プロジェクト”に加わった。

入社後まもなく、カプング氏はタンザニアやコンゴで3カ月にわたる市場調査を実施。帰国後は、結婚式場予約のサービスをはじめ、ITサービスの立ち上げなどを会社に提案した。特に強く提案したのが、現地のニーズにマッチしたサービスを作るために、現地に開発チームを組織する必要性だった。これが4月のヘヘ・ラボ買収につながったわけだ。

カプング氏が描く事業計画は、ルワンダ国内にとどまらない。「国内でしっかり体制を構築し、(さまざまな機器をネットにつなげる)IoT、AI(人工知能)、フィンテック(金融とテクノロジーの組み合わせ)などあらゆる領域を手掛けられるエンジニア集団になったら、ほかのアフリカ諸国や南米、北米でのサービス展開にも挑戦したい」(カプング氏)。

DMMは今回の買収・出資について詳細な額は明かしていないが、「5年で100億円」と掲げる投資枠にはまだまだ余裕がありそうだ。ルワンダ事業のさらなる拡大はもちろん、ほかの国で新しい案件が立ち上がる可能性も十分にあるだろう。プロジェクトはまだ、始まったばかりなのだ。

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