はたしてトランプ大統領は弾劾されるのか? 特別検察官任命までの流れを詳しく解説
過去に解任されたFBI長官は1人いる。1993年にビル・クリントン大統領によって解任されたウィリアム・セッションズ元長官である。同氏は公私混同が激しく、大統領は何度も辞任を求めたが、拒否し続けていた。そのためクリントン大統領はジャネット・レノ司法長官に指示し、倫理的に職務にふさわしくないという辞任勧告の書簡を送らせるという手続きを取ってセッションズ元長官の解任に踏み切った。今回、トランプ大統領はコミー前長官の解任に際して、クリントン大統領の前例に倣って司法長官と司法副長官の署名を準備した。
だが、トランプ大統領が指摘したコミー前長官解任の理由を信じる者はいなかった。セッションズ司法長官はアンドリュー・マッケイブFBI副長官をFBI長官代行に任命した。だが、マッケイブ長官代行自身もクリントン候補の私的メール問題にかかわり司法省の捜査対象であった。このことは、コミー前長官解任の理由が極めて作為的であることを示している。
コミー前長官はフリン氏とロシアとの関係を調査
ケリーアン・コンウェイ大統領顧問は、CNNの番組に出演して「コミー長官解任の決定は6カ月前の選挙とは関係ない」と語っている。ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース副報道官は「トランプ大統領は大統領に就任したときから、コミー前長官の解任を考えていた」と説明していた。
しかし、コミー前長官解任の伏線は8日の議会の公聴会にあった。公聴会でサリー・イエーツ前司法長官代行が、マイケル・フリン前安全保障担当大統領補佐官はロシアと密接な関係にあり、ロシア政府から脅迫を受けていたと、証言したことだ。FBIはフリン前補佐官とロシアの関係を調査しており、この証言が捜査を促進させる可能性があった。さらにコミー前長官は、その捜査のための予算の増額を求めていた。加えて、オバマ政権がトランプ陣営の盗聴を行っていたというトランプ大統領の主張は偽りである、とコミー氏が議会で証言したこともトランプ大統領の怒りを買っており、解任に結び付いたと思われる。
解任発表前日の月曜にトランプ大統領はセッションズ司法長官、ローゼンスタイン副長官と会談し、コミー長官解任の理由を協議している。さらにトランプ大統領は11日に行われたNBCニュースによるインタビューの中で「私は司法長官と副長官の勧告がなくてもコミー氏を解任するつもりだった」と語っている。
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