はたしてトランプ大統領は弾劾されるのか? 特別検察官任命までの流れを詳しく解説

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だが、翌日の16日、トランプ大統領自らが機密情報のロシア側への提供をツイッターで認め、それまでのホワイトハウスの説明を覆した。ツイッターでトランプ大統領は「自分はロシアと情報を共有する"絶対的な権利"を持つ」と説明。そのうえ、誰がその情報をメディアにリークしたのか探し出す、と逆ギレした。

さらにCNNが、トランプ大統領がロシアに提供した機密情報の内容の詳細を報道しないよう、ホワイトハウスがメディアに圧力をかけたことを暴露した。後日、この情報はイスラエルから提供された「イスラム国」に関する軍事情報であることが明らかになる。トランプ大統領の行為は同盟国に対する裏切りである、との批判が浴びせられた。

コミー・メモ、大統領から調査中止の圧力?

16日には、ニューヨーク・タイムズ紙が追い打ちの記事を掲載する。それはトランプ大統領がコミー前長官に前国家安全保障担当のフリン補佐官とロシアとの関係に関するFBIの調査を中止するよう求めたというものである。その要求はフリン前補佐官が解任された直後の2月14日に行われたものである。コミー前長官は、その際の会話の内容を詳細なメモとして残していた。

メモには、トランプ大統領が「この調査を終わらせ、フリンを自由にしてほしい。フリンは好人物だ」と語ったといった内容が含まれていた。ホワイトハウスは当然のことながら、トランプ大統領はコミー氏やほかの人物に調査をやめるよう求めたことはないと否定する声明を出している。トランプ大統領やホワイトハウスの説明はくるくる変わり、矛盾が積み重なった。

コミー長官のメモの存在でトランプ大統領は窮地に追い込まれる。捜査中止を求めたトランプ大統領の行為は"司法妨害"に当たり、弾劾の要件を満たす可能性があるからだ。さらに、それまで否定し続けてきたトランプ大統領とロシアとのビジネス関係や金銭的なやり取りが再び大きな疑惑の対象となった。

議会は党派を超えて、コミー・メモの提出とコミー前長官の議会での証言を要求し始めた。議会で公聴会が開かれれば、トランプ大統領に裏切られたと感じているコミー前長官がどんな証言をするかわからない。さらに上院諜報委員会は17日、FBIに対してコミー・メモを提出することを求めた。さらに上院司法委員会の委員4名がホワイトハウスとFBIに書簡を送り、トランプ大統領とコミー長官が交わした会話に関する書類を5月24日までに提出することを求めた。チャック・グラスリー司法委員会委員長は「われわれはすべてのメモの提出を求めている」と語っている。下院の監視委員会も同様の要求をFBIに対して行う一方、コミー前長官に委員会での証言を求めることを決めた。

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