「座れる特急」での通勤は定着しているのか

小田急・西武はほぼ満席、東武新型特急は?

また、平日朝下り方面の特急ロマンスカーも多くの通勤利用がある。特に利用が多いのが、新宿7時27分発「はこね83号」箱根湯本行き(列車番号:0783)である。途中、向ヶ丘遊園駅、町田駅、本厚木駅、伊勢原駅、新松田駅、小田原駅とこまめに停車するが、特に町田駅→本厚木駅間の一区間だけの利用が多く、相席になることもしばしばである。

対照的に、1本前の新宿駅7時15分発「さがみ57号」小田原行き(列車番号:0357)は、かなりゆとりがある。「さがみ57号」は、新宿駅6時45分発の「あさぎり1号」御殿場行き(列車番号:新宿→松田0401M、松田→御殿場1M)とともに、新百合ヶ丘駅、相模大野駅、秦野駅に向かう旅客の着席ニーズに応えている。

また、新百合ヶ丘駅が始発(8時10分発)の「はこね5号」箱根湯本行き(列車番号:0305)では、新百合ヶ丘駅→相模大野駅間のみという短区間の利用も見られる。この列車は喜多見検車区から新百合ヶ丘駅まで回送列車として送り込まれてくるが、成城学園前駅から営業運転すれば、世田谷区民の利用を取り込めそうである。さらに、「あさぎり1号」「さがみ57号」の停車駅に成城学園前駅を追加することも、乗車率向上に寄与すると考えられる。

海老名・本厚木連続停車で通勤利用拡大を

2016年3月26日からは、特急の海老名駅・伊勢原駅停車が開始され、朝の通勤時間帯の下り方面では、伊勢原駅に2本が停車するようになった。小田急は「伊勢原については、観光利用がメインとなる」(同社)との見解を示しているが、筆者が平日に視察した時には、仕事に向かうと見られる旅客が多く見られた。

海老名駅には夜に下り2本が停車するが、筆者が平日に乗車した際、新宿駅18時30分発「ホームウェイ3号」小田原行き(列車番号:0903)では、海老名駅で大量の下車があった。現在同駅の特急停車は日中時間帯が中心であり、朝の通勤時間帯の停車はないが、潜在需要は少なくないはずである。小田急に聞いたところ「近隣の特急停車駅からの転移もあるものの、新規利用も獲得している」との回答で、平日の停車本数が削減された本厚木駅利用者が海老名駅に転移していることを認めている。

たとえば、東武が5月12日に公表した「東武グループ長期経営構想・東武グループ中期経営計画2017~2020」(以下、東武経営計画)では、「春日部駅停車特急の拡大」が明記された。仮に「りょうもう」が同駅停車となれば、東武動物公園駅と連続停車する特急が大幅に増加することも予想される。

小田急も、海老名駅と本厚木駅に連続停車させることによって、朝夕の通勤時間帯の海老名駅発着の通勤利用、および千代田線停車駅・新百合ヶ丘駅―海老名駅相互間での特急利用を可能することが、利用者のメリット拡大につながると筆者は考える。ただし、朝夕のピーク時間帯では本厚木駅と海老名駅に連続停車する列車の限定を考慮する必要はある。

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