3Gネットワークは正直言ってドキドキ−−宮川潤一 ソフトバンクモバイル取締役専務執行役CTO
--データ定額5985円という料金は「ソフトバンクは安い」というイメージから離れているように感じます。
確かに音声中心のユーザーからは高く見えるでしょうが、法人やよく使う人から見れば、ドコモのデータ定額が同じ5985円なので高くは感じないと思います。
携帯電話とは別にパソコンで使うデータカードを契約している法人ユーザーにとっては、むしろアイフォーン一つで事足りるわけで、そうとう安く感じるかもしれません。
--アイフォーンを機に法人ビジネスの拡大も狙えます。
法人向けも最初から対象に考えていますよ。でも、玉(端末)が少ないので言い切れない。少なくともソフトバンクでは、部長以上にシャープ製のインターネットマシン携帯を持たせていますが、今後はアイフォーンに切り替えます。初期出荷が落ち着いたタイミングで全社員を対象にした特別購入プログラムも用意し、アイフォーンをどんどん使ってもらう。
--3Gのネットワークがパンクする心配はないですか。
そりゃ不安ですよ。一機種がもたらす通信量としては莫大。ソフトバンクがパソコン用のデータカードをやらない理由は、データカードのパケット負荷が通常の端末の20倍以上あるから。100万枚データカードが出ると、2000万の携帯電話ユーザーと同じくらいのネットワークキャパシティを用意しないといけない。
ライバルが定額料金でデータカードを始めたとき、「ソフトバンクはすぐについてくるはず。そうしたらやつらは崩壊する」と読んでいたらしい。彼らの分析も正しいし(笑)、僕も錯覚はしていない。
結論を言えば、アイフォーン導入に向けて準備をしてきたので大丈夫。でも、実際の動向を見てみないと正直ドキドキですよ。自宅でWi‐Fi(無線LAN)経由でつないでくれる人が、5%いるのか10%いるのか。ヘビーユーザーが少しでもそうしてくれるとかなり楽になる。発売後2週間は特別体制でネットワークの状況を見続けます。
--無線LAN接続を推奨していく必要がある、と。
僕が管理している投資を削ってでもいいから、アイフォーン購入者には無線LANルーターを1個ずつプレゼントしたいと思っているくらい。自宅ではぜひ無線LANでつないでほしい。You Tubeやナビなどは、3Gネットワークよりもサクサク動きますから。
アイフォーンは、通信キャリアとユーザーさんの共同事業。もし3Gネットワークが集中的に使われるようであれば増強投資が必要になるので、どうしてもサービス対価が上がってくる。僕らとしてもそうした事情をオープンにしたいと思っていて、すでに音声では、ホワイトプランでわかりやすく提示したつもり。「この時間帯はあまり使わないので好き放題しゃべってくれ。この時間帯は重たいので課金させてもらう」と、通信キャリアの構造を説明している。
ユーザーさんとの信頼関係が深くなって、仮に家で無線LAN経由にしてくれる人が半分いたら、料金は半額にできる。ユーザーとキャリアが共存できるような使い方をしてくれたら世の中は変わると思うし、逆にガンガン3Gに負荷を与えられたとしたら、音を上げるかもしれない。