「日経平均株価2万円突破」は時間の問題だ 機関投資家は「懐疑」が薄れれば「会議」で買う

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ところが、足元の米ドル円相場の堅調な推移で、「このままどんどん円安にならなくても、大幅な円高にさえならなければ、今期の企業収益の増益予想は確かさが増すし、予想PERで考えて割安だ、という議論に乗ってもよいのではないか」といった状況になりつつある。国内機関投資家は、円相場に対する懐疑心がある間はあまり買いに出動しないが、懐疑心が薄らぎ割安との議論を社内で信じる空気が広がると、「投資委員会」などの社内会議で国内株を買おう、という結論になってくるだろう。

海外投資家についても、短期筋の買い戻しは目先一巡する可能性はあるが、長期筋が淡々と業績のよい企業を拾っていく、という動きを続けるかもしれない。

業績好調な銘柄はしっかり買われている

当コラムで何度か述べたが、円相場の位置とは関係なく、世界経済の「じわりとした持ち直し」に沿って、海外の日本製品に対する需要が回復しており、足元では輸出企業の収益改善が目立つ。例外的なのは自動車業界だ。米国の自動車販売動向や、今後のトランプ政権からの圧力に対する懸念もあって、株価が重い。しかし、これまで経済動向が不透明だとして設備投資を控えていた世界の経営者が、明るい展望を持って設備投資を増やすことが期待される。これは輸出企業の中でも、設備機械や、そうした製品を支える機械部品・電子部品企業に恩恵をもたらす。

安川電機などのメカトロニクス企業、ミネベアミツミなどの機械部品企業、キーエンスなどの設備機械を支える電子部品企業の株価が堅調に推移しているのは、そうした産業の明るい流れを反映していると言えるし、内外の投資家が全体論よりも個別企業の収益のよさに注目している証左とも言える。

国内機関投資家は、前述のように、強気姿勢に傾いてくるだろうが、かと言って、一気に買ってくるわけではないだろう。また、「日経平均はどうも2万円を超えないような気がする。なぜなら2万円を超えてこないからだ」といった、意味の薄い相場観にとらわれている投資家や専門家も多い。こうした投資家や専門家が、「日経平均は2万円から力強く上がるだろう。なぜなら2万円を超えてきたからだ」と宗旨替えするのに、少し時間がかかることはありうる。

したがって、今週に限れば、個別株に活発な動意が生じながらも、日経平均で測った全体的な国内株価動向としては、2万円を超えない可能性はある。株価指数の日々の変動幅も、先週に続いて、限定的だろう。しかし、2万円超えは、時間の問題だと考える。こうした観点から、今週の日経平均株価の予想レンジを、1万9700~2万0100円と見込む。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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