「日経平均株価2万円突破」は時間の問題だ 機関投資家は「懐疑」が薄れれば「会議」で買う

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すでに発表が一巡した、米企業の1~3月期の決算も、総じて好調だった。ただ、一部企業の決算は失望を招いている。たとえば百貨店のメーシーズ(2~4月期決算)は減収減益であったため、他の小売株も含めて11日(木)に株価が下落し、相場の悪役となった。

ただ、前述のように4月分の小売売上高は、堅調(12日〈金〉発表、3月分は前月比0.2%減から0.1%増に上方修正、4月分は同0.4%増)で、個人消費全体が悪いわけではない。

これは、百貨店などの既存の小売業が、ネットに客を奪われている、ということなのだろう。百貨店を核テナントとしたショッピングモールは全米各地にあるが、閑古鳥が鳴き、廃墟同然になってしまったモールも多い。

こうした産業や企業の栄枯盛衰がダイナミックに進むことは米国の強みでもある。競争力を失った産業や企業がどんどん消えていき、新しい企業が次々と興ることで、米国全体の強さが維持されるわけだ。投資家は衰退企業の株から成長企業の株に乗り換えればよい。足元、ニューヨークダウ工業株指数の動きが今一つだが、ナスダック総合指数が堅調なのは、そうした栄枯盛衰を反映していると言える。

日経平均2万円は遠いが「懐疑」薄らぎ「会議」で買い?

さて、「トランプ大統領の政治リスクが最初からありながらも、実態経済が堅調な米国」、という図式が改めて鮮明となり、米ドルも強含んでいる。フランス大統領選挙もエマニュエル・マクロン氏(妻の実家は「マカロン屋」さんらしい)の勝利に終わった。朝鮮半島情勢は依然予断は許さないが、すぐに軍事衝突、といった様子ではない。

こうした海外要因の落ち着きから、日本株についても、日経平均株価が一時、米国時間に先物で2万円の大台を超えた。一方、現物指数では、2万円に乗せそうで乗せない、という展開だった。

2万円が遠く感じられる要因としては、投資家の慎重姿勢が指摘できよう。一部の報道では、カバードコールを持つ投資家が増えている、と伝えられている。カバードコールをごく簡単に説明すると、「上値での儲けをあきらめてコール売りの代金を入手する手法」である。つまり、決して弱気ではないが株価の上昇を期待せず、目先の収益を取ろうとする、慎重な投資家が多いことが示されている。

しかし、たとえば内外の機関投資家が、そろりと買いを増やす展開はありそうだ。これまでは、予想PER(株価収益率)でみて日本株は割安だ、という議論を展開しても、「その予想PERは、アナリストの予想利益で計算しているんでしょ、その予想利益は、円高になったらあっという間に下方修正されるんでしょ、そんな信じられない利益予想から計算したPERで、割安だと言われても、信用できないね」という投資家の反応だった。

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