「日経平均株価2万円突破」は時間の問題だ 機関投資家は「懐疑」が薄れれば「会議」で買う

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野党の民主党のみならず、与党の共和党からも、今回の解任については、批判が浴びせられている。共和党の重鎮であるジョン・マケイン上院議員は「コミー氏はどんな状況でもFBIを適切に導いてきた。大統領の解任決定には失望した」との声明を明らかにした。

余談だが、10日(水)付のワシントン・ポスト紙によれば、別の会合では、マケイン氏は ” This is a centipede. I guarantee you there will be more shoes to drop, I can just guarantee it.” と語ったと報じられている。shoes to drop というのは、アメリカ人は通常、家の中でも靴を脱がない。寝るためベッドに入るときはさすがに靴を脱ぐわけだが、そのときにまず片足から脱いだ靴が床にゴトン、と落ちると、先にベッドに入っていた配偶者が、その音で目が覚めてしまう。

ただ、靴はもう一つ片足分あるので、一度起こされた人が再度ゴトンと起こされてしまう、ということを指す。マケイン氏は「この件はムカデ(centipede)だ」と述べているので、ムカデのたくさんの足に履いている靴が、次々とゴトン、ゴトンと床に落ち続ける、つまりこのスキャンダルは延々と騒がれ続けるぞ、と示唆しているわけだ。その政治的感覚は、おそらく極めて正しいだろう。

トランプ期待はすでに剥落、米国の経済指標は堅調

かと言って、米国株価の先行きを、当面懸念するには当たるまい。前回のコラムのサブタイトルは、『「駄目トランプ」でも米国に3つの明るい材料』だ。その1つとして、「すでに市場(投資家)が、ほとんどトランプ大統領に期待していない点」を挙げた。

秋以降になれば、予算審議が本格化し、そこではさすがに経済政策が期待外れだとダメ押しされて、米株や米ドルが下落局面に突入するだろう。しかし、その前の夏場辺りまでは、もともと期待していなかった政治要因がやはりダメだった、という自明なことは、市場にとってネガティブ・サプライズにはなりにくいと考える。

前回のコラムから、もう1つ明るい点を挙げると、「トランプ政権の経済政策があろうとなかろうと、米国経済や企業収益自体は堅調だという点」を指摘した。そこでは、3月までの経済統計は暴風雪の影響で弱かったと解説したが、その後に発表された経済統計では、週次の失業保険申請件数、4月分のISM非製造業指数、雇用統計、小売売上高など、ことごとく改善を示している。

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