「スマホの使用を制限する親」が懸念する事態 スマホやネットに中毒性はあるのか
シカゴに拠点を置く大手IT企業でプログラミングマネジャーを務めるブライアン・マクドネル氏もこれに同意する。「フェイスブックなどのサービスは、人の脳にドーパミンを発生させ、『お、今成功したぞ』と思わせるように設計されている」と彼は言う。
ドーパミンは代表的な「快楽を感じさせる」神経伝達物質として知られている。フェイスブックの投稿に「いいね!」をしてもらったり、好きなデザートを食べたりするなど、ある行動から快楽を感じられる結果を得られたとき、ドーパミンが分泌される。ドーパミンは心地よく、依存性がある。
マクドネル氏が注目するのは、米国の行動心理学者、B.F. スキナーが1940年代に行っていたオペラント条件付けの研究だ。スキナーはラットでの実験において、ある行動の後に強化(報酬)が行われると、その行動は繰り返されやすくなるという理論をまとめた。しかし、行動の後に罰が与えられると、行動は繰り返されにくくなる。
ハイテク企業にも2種類ある
ゲーム業界には昔からこれを応用したゲームが存在する。こうしたゲームは、プレーヤーに対して一定間隔で小さな成功を与えるように設計されている。ユーザーが長期間利用することによって利益が得られるハイテク企業の中には、こうしたアプローチを応用しているところは少なくない。
もちろん、すべてのIT企業が「強化」という概念に重点を置いているわけではないとマクドネル氏は指摘する。ユーザーが報酬に反応することで利益を得るようなビジネスモデルを築いている企業と、ユーザーに情報を与えることを目的としている企業には明確な違いがあるという。
マクドネル氏に言わせれば、ハイテク機器は「自分のしたいことを成し遂げるためのツール」だ。「中毒性のある行動をさせられることと、自ら欲しい情報を得ることには大きな違いがある」。