そもそも誰でも無料で始められるネット生中継の中身は玉石混淆。何でもありだ。ただ自分が寝ている姿を流すだけのものや、ドライブの様子を実況するものなど、いまやあらゆるものが生中継されているといっても過言ではない。
上記のような例なら退屈なだけで済むが、注目を集めれば手軽に稼げると考えられているだけに、過激な内容が頻出する。その最も有名な「事件」の1つは、2016年1月に起きた「赤ちゃんづくり生中継」だろう。
カメラの前で1組の男女が全裸で性行為を見せ、ネット生中継で流したのだ。さすがに視聴者に通報されそのアカウントはすぐに閉鎖されたが、キャプチャーされた映像は、ネット上に拡散し大きな関心と議論を巻き起こした。
この他にも生中継の最中に着替えたり、下半身を露出したりする行為も頻発した。中国国営の中央テレビも、飲酒運転を生中継した男や、視聴者を集めようと麻薬を吸うまねをして警察に拘束された男のケースを取り上げ、ネット生中継の乱れぶりを問題視するようになった。
横領や殺人に発展したケースも
一方、パフォーマーへのプレゼントを贈るカネ欲しさに、横領や盗みを働く事件も相次いだ。一例を挙げると、去年6月、天津にあるホテルの出納係の女が3カ月余りの間に6000万円近くを横領したとして逮捕された。
横領したカネはネット生中継のプレゼントの購入に使っていた。女は、ある男性パフォーマーに、安いプレゼントを贈っても見向きもされなかったため、高いプレゼントで関心を引いたという動機を語った。
さらに殺人事件も起きていた。一昨年9月、湖南省のホテルの部屋で若い女性の血まみれの遺体が見つかった。警察は女性と一緒にチェックインし、その後行方をくらましていた19歳の男を逮捕。被害者は21歳のネット生中継のパフォーマーだった。地元のテレビが流した身柄拘束中の男のインタビューなどによれば、男は女性パフォーマーに8カ月にわたり、合わせて30万円以上のバーチャルプレゼントを贈った。
それに「感動した」女性は、男との面会に応じるが、会う度に数千円のカネを要求した。4回目のデートとなった犯行当日も、女性がカネを要求したためけんかとなり、男はかっとなって果物ナイフで彼女を刺し殺したという。
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