カルビー松本会長「労働時間の減少は必然だ」 働き方改革の旗手が考える日本の課題
しかし、私は、このベーシックインカムが実現可能かといえば、日本では難しいと感じています。
日本の社会保障費はすべて合わせて110兆円を超す程度です。それをゼロにして、全部配ったら、年間100万円弱といったところです。生活保護や年金や国民健康保険の国庫負担分といった社会保障をすべてなくしたあと、本当にそれで十分でしょうか。
あるいは毎月20万円を配るといえば、なんとか生活できる国民がほとんどかもしれません。でも現在の年金の仕組みもギリギリの状態で、国民全員に20万円の現金支給を毎月行えるでしょうか。人頭税のようなもので国民全員から税金を取ればいいのかもしれませんが、消費税を上げるというだけでも大反対が起こる国なので、それも難しい。
要するに、財源確保の点から言っても、現行のシステムを変えて、ベーシックインカムにするというのは難しいのではないか、と考えているのです。
余った時間に何をするか
しかし、著者が挙げているもうひとつの論点、どんどん少なくなっていくであろう労働時間で余った時間に何をするか、という点が今後の大きなテーマになるという点に関して私も同じことを考えていました。
短時間労働で成果を出し、会社に貢献するためには頭を使わなければなりません。そうすると会社にいる以外の時間をいかに過ごすかが問われる。魅力のない人間はいい仕事ができない。私は今でも社員に早く帰って、英会話やビジネススクールで学んだり、ミュージカルやコンサートに行ったり、ジムで体を鍛えたり、子どもと過ごす時間をつくりなさいと言っています。自分の好きな時間を持つことで人間はどんどん魅力的になっていき、豊かな生活がその人間を魅力的にします。そして、魅力的な人間から次の新しいことが生まれます。
本当に人生にとって価値のあることに時間を使う必要があると著者は述べています。皆さんにも、そのことを考えてほしいと思います。
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