国内最大の民間投資家が「ESG」に本気なワケ 日本生命が最大2000億円の追加投資を決定

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「クレジット(信用力)分析+ESGという観点から投資していく。環境といったテーマ別の債券投資だけでなく、ファンドを通じた投資も行う」(藤掛寛・クレジット投資部課長)

今回、日生はなぜ債券を中心にESG投資を行うのか。それは同社の国内株式保有がもともと多いことに加え、ESG株式投資が債券より難しいからだ。株式投資の場合は、ESGの評価・点数の高い企業に投資をすれば儲かるわけではない。機関投資家は同じような指標を見ており、特定の銘柄だけに投資が集中してしまう懸念がある。

ESG株式投資について、山本朋弥・財務企画部課長は「収益性を考えれば分散投資が必要であり、ESGをどう実務に落とし込んでいくかが重要」と課題を述べる。こうした点を踏まえて、今後も研究を進めていくという。

ただ債券投資とはいっても、たとえば社債となれば個別企業への評価が必要になる。アクサIMはESG投資に実績があり、ESG調査のために16人の専任者を置く。今回、日生がアクサIMと提携したのはその評価手法を学ぶ狙いもある。

ESG投資にはまだ確立された手法はない。そのような中で、アクサIMはどのような基準でESG投資を行っているのか。今回の日生との提携にあたって、アクサIMの責任投資最高責任者、マット・クリスチャンセン氏に聞いた。

独自のスコアリングで評価

ーーESGの評価はどういう手法を使っているのか。

マット・クリスチャンセン/欧州の社会的責任投資フォーラム(EUROSIF)の創設役員などを経て、2011年アクサ・インベストメント・マネージャーズ入社。ESG基準の統合を指揮、実行や監督も行う(撮影:今井康一)

スコアリングでは、企業と国それぞれに関するESG情報の枠組みがある。企業については、重要な要素を取り上げ情報を得て、分析を行っている。そして各項目についてスコアリングしている。

具体的には当該企業に関するデータを集め、整理し、 それぞれの項目について0から10までの点数をつけ、格付けする。外部のESG調査機関の情報も活用するが、自社の調査部門でも情報を集め、ESGの属性、業種などの特性も評価する。業種ごとに専門の担当者がいる。独自の定量的なスコアリングと定性的調査・分析を行っている。

ESGそれぞれの重要性は業種ごとに違う。たとえば、金融機関の場合は、ガバナンスがより重要視される。エネルギーの企業は環境がより重要視される。それぞれのセクター別にESGの分類・項目ごとに重要度を考えて、重みづけをしている。

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