社員69人で爆走する「千葉テレビ」の正体 番組もスポンサーも広告も、全部「常識外れ」

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局の顔ともいえる看板番組は、どれも長寿だ。カラオケ番組「チバテレビカラオケ大賞21」は放送35年、「ザ・カラオケトライアル」は33年の超長寿番組だ。大賞は提携するカラオケ店から推薦された人物が出場、トライアルは番組の審査を経て出場する。千葉テレビは年に1度、視聴率調査を行い番組改編の参考にしているが、カラオケ番組の人気は根強い。

カラオケ番組の収録日、本社ロビー1階には観覧を待つ、たくさんのファンの姿が見られた(記者撮影)

番組は観客を入れる公開収録にしているため、収録日には100人以上のファンが千葉テレビ本社を訪れる。1階ロビーはまるで高齢者の憩いの場だ。

喫茶室でランチを食べたり、友人とおしゃべりしながらお茶を飲んだり、トイレの中で衣装に着替え、発声練習をしたりする者もいるという。警備が厳重なキー局ではありえない光景だが、これが視聴者と千葉テレビの「距離感」なのだろう。

「僕は日本一何もしないプロデューサーです」

さらに、テレビ局に欠かせないのがバラエティ。その代表的な番組が2004年に放送を開始した「白黒アンジャッシュ」だ。人気お笑いコンビのアンジャッシュ(児嶋一哉・渡部建)にとって初であり、唯一の冠番組だ。キー局の番組の出演時とは異なる2人の掛け合いが特徴で、ゲストにブレーク間近のお笑い芸人を呼んでトークすることも多い。

白黒アンジャッシュは2人のトークが見られる貴重な番組だ。公開収録には毎回100人近くのファンが駆け付け、その8割を女性が占める。2015年には明石家さんまがサプライズ出演したこともあった(写真:千葉テレビ)

長寿番組だけにさまざまな秘訣がありそうだが、プロデューサーの小森健一郎氏から聞かされたのは驚愕の証言だった。「僕は日本一何もしないプロデューサーだと思う。ほとんど指示もしないし、打ち合わせもネタ合わせもしない。アンジャッシュとあまり話したこともない。たぶん2人は僕のことを誰だか知らないんじゃないか……」

何とも意味深だが、これにはワケがある。制作陣には千葉テレビのスタッフに加え、キー局の番組も担当する外部ディレクターや構成作家、アシスタントディレクターがおり、アンジャッシュと付き合いの長いスタッフもいる。アンジャッシュ自身もトークテーマを積極的に提案する。「現場のチームワークが非常にいい」(小森氏)ので、プロデューサーが特別な指示をする必要がないのだ。

ただ、これまでの道のりは平坦ではなかった。白黒は当初、制作費が少なく、アンジャッシュの人気も低かったため、いつ打ち切りになってもおかしくない状況だった。番組で観客を募集しても、1人しかファンが来なかったこともあったという。

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