清水富美加の「自然体」を読み違えた男の考察 「個性」ではなくカタにはまっていた

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「独特の個性があるぞ」と、思っていたが実は……(Illustrations: Koji Wakisaka)

「幸福の科学」に「出家」して芸能界を引退した女優、清水富美加ファンだった小田嶋隆のレクイエム。

「このコには、独特の個性があるぞ」

当記事は「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)の提供記事です

清水富美加という女優さんを、どうやら私は見誤っていた。残念ななりゆきだが、事実なのだから仕方がない。今回はその話をする。

元来、私は女性の気持ちに詳しくない。若い時分からそういう傾向はあった。私は、いつも自分の周囲にいる女性が、何を考えているのかを、うまく見極めることができない。特に若い女性が相手ということになると、ほとんどまったく使いものにならない。

その私が、清水富美加については、ちょっとカンが働く気がしていた。

「このコには、独特の個性があるぞ」

と、そう思ったからだ。

もっとも、私は、若い女のコの生態には疎い。どのコが典型例で、誰が逸脱例に相当するのかといったあたりの事情についても、確かな情報を持っていない。有り体にいえば、20代の女性は、すべて同じ個体に見える。歩き方や首の傾げ方から身に着けている小道具のあれこれに至るまでのすべてが、誰かの”コピペ”に見えるのだ。

ところが、清水富美加は、ちょっと違って見えた。何かのトーク番組に出てきた時の受け答えにそれを感じた。特段に奇天烈な話をしていたわけでもなかったのだが、司会者とのやりとりに感心させられたのだ。

「このコは、自分の周囲の世界や出来事について、いちいち自分のアタマで考えてから答えを導き出す習慣を持っている」

と、私はそう判断した。言葉の選び方が独特で、受け答えの間合いにも、そっけなさに陥る寸前の端的さが感じられたからだ。

次ページカタにハマっていたのは清水富美加のほうだった
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