「迷走気味の民主党」が米国最大のリスクだ

米国政治の機能不全を増幅しかねない

経済政策だけで、白人の労働者を引き戻せる保証はない。経済問題に特化したようなウォーレン議員の著作に対しては、「なぜ民主党が敗れたのか、本当の理由を理解できていない(米ワシントンポスト紙)」といった辛辣な評価も寄せられている。

民主党は、米国議会がイースター休会に入った4月半ばに、オバマ政権で労働長官を務めたトーマス・ペレス氏とサンダース議員による、全米行脚の遊説ツアーを実施した。

ツアーの名前は、「団結と反撃」。トランプ大統領への「反撃」を目指す前に、まずはペレス委員長が代表する主流派とサンダース派の「団結」を呼びかけなければならないところに、民主党の悩みがある。遊説ツアーでは、集まったサンダース派の聴衆から、ペレス委員長に罵声が浴びせられる局面もあったという。

非現実的なサンダース議員の公約

さらに深刻なのは、たとえ民主党がサンダース路線を採用したとしても、それが中間層の経済的な困難を解消できるとはかぎらないことだ。

昨年の大統領選挙におけるサンダース議員の公約は、トランプ大統領の公約と負けず劣らず、その実現可能性が怪しい内容だった。国民すべてが加入できる公的医療保険制度の創設や巨額のインフラ投資、さらには大学教育の無償化など、サンダース議員の公約は、米国の財政に大きな負担をかける。

これらをすべて実現すれば、向こう10年間で約19兆ドルの赤字増をもたらすと試算されていた。放漫財政と言われたトランプ大統領の公約ですら、10年間の赤字増は5兆ドル強と言われており、いかにサンダース議員の公約が途方もない内容かがわかる。

また、個別の政策では、トランプ政権の政策が持つ問題をさらに悪化させかねない側面がある。それは、保護主義的な通商政策である。トランプ政権の保護主義的な通商政策は、高関税などを通じて米国の消費者の生活を苦しめるなど、真の中間層対策にはならないと批判されている。

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