「鉄道フォーラム」はネットの歴史そのものだ パソコン通信から刻んだ30年の歴史

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この方針が決まってから、それまでに発言した全員に対して電子メールでログの移行のお願いをした。NIFTY-Serve時代は、発言IDがそのまま電子メールアドレスになっていたので、過去ログから電子メールを送ることができた。しかし、相当数は既に退会していて連絡が取れなかった。また、有料化に際しての意見の違いから、移行を拒否する人もいた。

それでも、過去20年間のログのうち半数ものログを保存できたのは、相当の成果だったと思っている。なにせ、JR発足直後から20年間の電子情報は、ほぼ鉄道フォーラム以外有していないのだから。

一方、独立後の10年強については、基本的にすべての発言を保存している。しかも、掲示板を「現行」から「終了」に属性変更しても、掲示板URL、発言URLともに変化せずユニークURLのままという仕様にしているため、鉄道フォーラム内のリンクは永久に生きているのだ。それら発言を横断検索できる機能もあるため、昨今、信頼できる情報源ということで、何か記す際にはこれら過去ログを検索して日時や内容の確認をするケースが増えている。

鉄道フォーラムの現状

現在の鉄道フォーラムホームページ

新生「鉄道フォーラム」が発足した時点で、個人のネット活動は、すでにホームページに続いてブログが流行していた。その後、ツイッター、フェイスブック、LINEといったSNSがはやるようになる。また、盤石と思われていたパソコンでのネットアクセスも、スマートフォンの普及で、いまや若者を中心に、ネット接続はスマホという時代が到来している。

鉄道フォーラムとしても、時代の変化にあわせて、携帯電話用画面、スマートフォン用画面なども用意するとともに、未読管理システムの導入なども進めてきた。

@niftyがフォーラムサービスを終了して10年以上が過ぎ、当時のフォーラム活動の延長線のサービスを続けているのは、鉄道フォーラムだけとなっている。しかし、NIFTY-Serveが日本に根付かせたフォーラムサービスは、多数の人がさまざまな意見交換をするうえで、いまもって好ましいスタイルだと筆者は思い続けている。

それは、話題毎にコメントツリーが形成される掲示板の存在が大きい。タイムラインではありえないような話題展開が期待できる。また、分野別に設置した掲示板には、その分野に強いスタッフがいて、発言をフォローする態勢を貫いている。

個人サイトで更新が10年続いているところは多くなく、活発に活動していると思うと突然活動を停止するサイトや、更新が長期にわたってないようなサイトも珍しくない。まして、過去ログの管理となると手が回らないのが実状だろう。

最新情報を得るには、いまやSNSが重宝される時代であり、すでにフォーラムがその役割で優位に立つことは難しい。しかし、多分野にわたる情報を集め、個々の情報を交換するといった面では、いまもって鉄道フォーラムの価値は失われていないと考えている。現に、最盛期ほどではないとはいえ、毎日鉄道フォーラムには多数の発言があり、そこから新たな事実を知ることは少なくない。そして、それらの発言はすべて過去ログとして保存され、いつでも検索できるようになっている。

ネット世界がこれだけ広まり、またサービス内容も多岐にわたっている現在、鉄道フォーラムのような会員制有料コミュニティサイトが、もっと増えても良いように思うのは筆者だけだろうか。

伊藤 博康 鉄道フォーラム代表

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いとう ひろやす / Hiroyasu Ito

1958年愛知県生まれ。大学卒業後に10年間のサラリーマン生活を経て、パソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを立ち上げて代表取締役に就任。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退したため、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。鉄道写真の撮影や執筆なども行う。

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