日本株はそろそろ底入れするかもしれない 「下げすぎの反動」があってもおかしくない
リスクが一時的に高まる雰囲気は数字からも読み取れます。それはアメリカのS&P500を対象としたオプション取引の値動きを基に算出される「VIX指数」が上昇していることです。VIX指数の数値が高いほど相場の先行きに不透明感が強く、「恐怖指数」とも呼ばれています。
一般的には株価の急落や不安定さが増すとVIX指数は上昇する傾向が強いといわれます。そのVIX指数を2015年から振り返りますと、4~5カ月ごとに大幅に上昇する傾向が見られ、日米株価の急落局面と一致していることがわかります。実は、足元も直近で大幅に上昇した時期からおおむね5カ月後に相当しています。「やはり上昇(リスク回避)してきたか」、といった感じで見ていますが、まだ十分に上昇し切っていないような気がしています。フランスの大統領選挙の結果次第では上昇の余地があるのではないでしょうか。
ただ、VIX指数がピークを打つときはつねに瞬間的で、株価のほうは結果的に底打ちになっていることに注意が必要です。そういった特性を考えると、同じようにおびえていてはダメで、ここは「人の行く裏に道あり花の山」を思い出し、株価がここからもう一段下げるときは、買い向かう姿勢をとるべきだと思うのです。
「ぼやっとした2つの底値サイン」とは?
一方、過去の経験則から思い浮かぶ、「ぼやっとした底値サイン」を2つ紹介いたします。1つ目は、東証1部の騰落レシオ(上昇銘柄数を下落銘柄数で割った指標、25日間)が17日現在で68%程度と、昨年2月に日経平均株価が安値を付けた以来の水準まで低下してきたことです。
この指標は、一般的には70%以下は売られすぎと判断され、底値圏を示唆します。騰落レシオは、株価の底値とほぼ一致する特性があるため、テクニカルアナリストの多くが信頼する指標です。昨年2月というと、人民元ショックによる急落を経て、日銀によるマイナス金利導入による株安が下げ止まった最終地点に近いところです。だから、いったん打診買いぐらいは入れてみたくなる水準であることです。
2つ目は、前回(「日本株は下がりにくい」と考える明確な理由)も少し取り上げさせていただきましたが、特定の業種の騰落から底値が近づいているのではないかという推測です。
今年に入って最も下げている業種は、不動産、その他金融(ノンバンクやリース会社など)、輸送用機器(自動車を含む)です。不動産株は昨年末にアメリカが利上げを決定したあたりから弱い動きが続いていました。
しかし、足元の相場を見渡すと不動産株が強いのです。ジャネット・イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が講演で緩やかな利上げを支持したことや、ドナルド・トランプ大統領の低金利が好ましいとの発言などから、低金利環境が長期化するとの見方が強まり、買いを集めています。都心部のオフィス市況の需要好調が確認できたことも不動産株への資金シフトを後押ししています。このように、いちばん下げたところから買いが入り、トヨタ自動車や新日鉄住金といった業界を代表する株価が底堅くなってきたことです。
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