1980年代のバブル期には「ハデ婚」が流行し、反対にバブル崩壊後の1990年代や2000年代には「ジミ婚」が流行した。
一方、最近の「○○婚」のトレンドは実に多様だ。「こだわり」の強い若者がさまざまな形態の結婚式を追い求めた結果ともいえそうである。
もっとも、「こだわり」によって費用が増えやすい結婚式のスタイルが多いというわけでもない。「シェアド婚」などは出席者に対するおもてなしを重視することで費用が増えそうな部分もあるが、「スマ婚」や「リゾ婚」などはコスパ(コストパフォーマンス)重視で費用を引き下げることが1つの目的である。コスパ重視という傾向も、最近の若者消費のキーワードである。
「こだわり」を重視した若者の消費行動には、結婚式費用を押し上げている面と低下させている面の両方がありそうだ。おそらく、この二面性が「特定サービス産業動態統計調査」と結婚情報誌『ゼクシィ』のアンケート調査の結果が乖離した要因だろう。
二極化であり、「デフレ知らず」とはいえない
結婚式に「プラスα」を求める場合はさまざまな演出などを参考にするため結婚情報誌の読者になるが、コスパを重視する場合は格安業者などを直接利用するケースが多いのではないか。その結果、結婚情報誌のアンケートでは結婚式費用が上がりやすく、全国調査である「特定サービス産業動態統計調査」と乖離が生じていると考えられよう。
2016年の「特定サービス産業動態統計調査」の調査対象件数は結婚情報誌アンケートの有効回答件数の約16.5倍であり、カバー範囲が大きい。直近の「特定サービス産業動態統計調査」によると、結婚式費用は緩やかに低下している。コスパ重視の若者層が一段と消費を抑えている可能性があり、結婚式費用は「デフレ知らず」とはいえないだろう。若者の消費性向の低下は、依然として国内消費の課題である。
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