てるみくらぶ、異常過ぎた「赤字販売」の結末 債務超過125億円に粉飾、無謀だった拡大戦略

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すでに2月末時点で取引先への支払いが滞っていたが、メインバンクの三井住友銀行から3月上旬に2.2億円、同中旬に1.7億円の緊急融資を受けている。

だが、それでも3月23日には航空会社への発券費用が支払えず、破綻に追い込まれた。同日時点で、前受金は100億円まで膨張、125億円の債務超過だった。

真相は明らかになるのか

てるみくらぶの資産にはクレジットカード会社からの未収入金約8億円などが残っているが、これは担保権を設定している金融機関などが優先的に回収するため、被害にあった一般顧客へはほとんどまわらない。

一般顧客の救済はJATA(日本旅行業協会)への供託金を原資に行われる。その額は1.2億円で、一般顧客約100億円の債務に対して、弁済率は1%程度にとどまる。

「この10年間で破綻した旅行会社は45社あるが、弁済率はほぼ100%。てるみくらぶだけが異例なケース」(旅行業界関係者)という声もあるが、顧客の保護が十分だったのか、今後検討の余地があるだろう。

今回のてるみくらぶの破綻を受けて同業の首脳は「彼らの顧客はざっと年間で20万人ほどだろう。赤字販売の業者がいなくなって(競争環境は)正常化に向かうのではないか」という。

破綻申立書によれば、決算確定や財産分与などは11月上旬に東京地方裁判所で行われる。この場で真相は明らかになるのか。8~9万人ともされる被害者が楽しみにしていた旅行が催行されないのは確かだ。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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