ゴルフレッスンプロ、1000人超が破産の危機

スイング分析ソフトが約600万円、驚愕の実態

この点について、被害者であり世話役の1人でもある横田亮氏は、「ゴルフ界独特の人間関係が深く影響している」という。横田氏は静岡県御殿場市の富士カントリークラブ所属のレッスンプロ。今から3年前、練習場の経営者から「ごるスタ」を薦められた。

「タダでウェブサイトを作ってくれるというし、多くの先輩たちも契約していた。話を進め、実際にウェブサイトが出来上がり、いざ契約という段階になったらクレジット契約をしてくれと営業マンが言い出した」という。

クレジットの元金は592万円、分割手数料コミで726万円を、84回払いする契約である。「あんなソフトに592万円だなんてありえない。タダのはずのウェブサイトの作成代金が592万円、しかも契約書上はウェブサイト作成代金じゃなくて、あんな安っぽそうに見えるソフトの代金だということになっている。おかしいと思い、契約はしたくなかったが、あの段階では断れなかった」(横田氏)。

レッスンプロの世界はまさに体育会の世界だ。自分が契約を断るということは、すでに契約している先輩たちや、契約を薦めた練習場の経営者の判断を否定することを意味する。そのうえ広告料が毎月きちんと支払われていれば、疑問も薄れる。実際、横田氏自身も、約3年にわたって広告料は毎月滞りなく支払われてきた。

さらにこうしたサービスに飛びつかざるを得ない、レッスンプロの実態もある。レッスンプロはおよそ3000人いると言われているが、その年収は相当稼いでいても、せいぜい600万円程度。年収100万円台もザラという世界だ。その中でウェブサイトをタダで作ってくれて、それを営業ツールに使えるなら渡りに船。レッスンプロの間で「ごるスタ」利用者が増えたことは、無理のない側面もある。

ブラック登録のリスクを背負う顧客

渦中のゴルフスタジアム社の堀代表は、「ごるスタが無料のサービスだと誤解しているのは顧客全員ではない。広告料を支払えなくなったことは本当に申し訳ないと思っている」と言う。

ゴルフスタジアムは2004年設立で、祖業はレッスンに使うスイング分析システム「モーションアナライザー」の販売。2台のカメラとモニター、それにソフトを約140カ所の練習場に1セット50万円で売ったことで、ゴルフ練習場にリレーションができた。

「その縁で練習場からウェブサイトの作成を依頼され、ウェブサイトに掲載する広告営業も依頼されるようになったことから、このビジネスモデルにたどり着いた。一時は広告の卸売りでずいぶん儲かったが、事業が拡大していくのと反比例する形で広告営業が苦戦するようになった」(堀代表)という。

会社側が送った文章には、LED導入やチケット販売、広告事業の活性化などで支払いを目指すとあるが、内容は不明確だ(横田亮氏提供)

会社側は3月24日付で顧客向けに書面を送付している。内容は、1年以内に顧客の売り上げに貢献できるツールを何か考え出すので、クレジットの支払いを1年間、猶予してもらうよう、信販会社と交渉してほしい、ついては交渉に必要な弁護士も紹介するし、弁護士費用も当方で負担する、というもの。

信販会社と契約しているのは顧客なので、顧客自身にしか交渉できないのは間違いない。だが、リスケ交渉をすれば顧客は金融機関からブラック登録されるリスクを背負い込む。

もっとも、被害者の会として早々に信販会社からの自動引き落としを止めるように指示しているので、どちらにしてもブラック登録のリスクは免れない。

横田氏は「だまされるほうが悪いという批判を浴びることも、信販会社にブラック登録されてしまうかもしれないことも覚悟のうえ。徹底的に戦う」という。

はたして、ごるスタ問題はどういった結末を迎えるのか。

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