テレビが「バカにしていた」ネットに頼る皮肉 情報番組の2割を「ネット発」が占める実態も

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「安倍昭恵・首相夫人とかのネットでの発言は一連の森友学園のニュースの流れで注目に値しますし、トランプ大統領は国の代表なわけで、ツイッターであろうとも発信するのは意味があります。一方、小林さんについては懐疑的なスタンスを私は取っています。ほかのディレクターは『伝えることに意味がある』『闘病中の人を勇気づける』と積極的な姿勢を取る人もいますが、私自身は『個人情報を誰に向けて配信するべきか』ということを考えます。

あくまでも小林さんは、個人の思いを発信しているわけで、読む人も自ら積極的に読みにいっている。しかし、メディアが流すことで2次災害を引き起こされることを懸念します。それこそ、住所を特定されたり、心ない人が小林さんの中傷をしたりするかもしれない、ということ。ここに加担はしたくない、と私個人は考えます」

一方、実際にネタ元になるブログの運営者はどう考えているのか。市川海老蔵さん、小林麻央さんら芸能人ブログを多く抱えるアメブロの事業責任者で株式会社サイバーエージェント アメーバ事業本部 ゼネラルマネージャーの高橋佑介氏はこう語る。

「ブログは、芸能人の方が伝えたい思いやメッセージなどを自分の言葉でつづる場ですので、ニュースを報じるメディアの方にとっても、いちばん信用の置ける情報源といえるのではないでしょうか。ブログではその方が伝えたいことを、ご自身の言葉のまま編集されることなく書くことができるので、この点が多くの芸能人がブログを執筆されている理由だと考えています」

ネタ収集でネット頼りが行き過ぎてしまうことも

こうしてテレビの企画担当者もネットは積極活用していることに加え、使われる側にも受け入れられている向きはある。しかし、ネタ収集でネット頼りが行き過ぎてしまう例もある。私自身、「NEWSポストセブン」というニュースサイトの編集を担当しているが、同サイトは時々テレビ番組のADとおぼしき人から電話が編集部に寄せられる。大抵の場合、「記事の内容を使わせてもらっていいか」や「画像を使っていいか」といった使用許可の申請だ。

NEWSポストセブンは、『週刊ポスト』『女性セブン』『SAPIO』の3誌の記事に加え、オリジナルのコンテンツ、さらには提携サイトからの記事で構成されている。テレビ番組などから許可申請があった場合、私たちは自分たちだけでつくったオリジナル記事であれば編集部で可否を答えられるが、3誌の転載記事は、各編集部に連絡するよう伝えている。著作権は各雑誌にあるからだ。そのため、記事の下部には「※週刊ポスト2017年●月●日号」という出典元を入れているのだ。

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