「しな鉄」が軽井沢駅に遊園地を開設するワケ

アウトレットに対抗、「旧軽」と鉄道がタッグ

工事は今年4月に開始し、10月に遊園地と旧駅舎が完成する予定だ。商業店舗スペースに関しては今年10月から工事を開始、来年春のオープンを見込んでいる。現在の軽井沢駅は北陸新幹線としな鉄線の2路線が乗り入れるが、旅行かばんやお土産を両手に抱えた観光客でごったがえす新幹線のホームに比べると、しなの鉄道のホームは影が薄い。これらの計画が完了すれば、しな鉄の存在感はぐっと高まる。

水戸岡鋭治氏がイメージする遊園地の構想

プロジェクト全体のデザインはJR九州の列車デザインで有名な水戸岡鋭治氏が担当する。水戸岡氏はしな鉄の観光列車「ろくもん」のデザインも行っている。

「日本一の避暑地・軽井沢でデザイナーが仕事をするのは覚悟がいる」と水戸岡氏は言う。JR博多シティの屋上施設や東京・日本橋室町にある書店の内装など鉄道以外でも数多くのデザインを手掛けているが、それでも水戸岡氏にとって、軽井沢でデザインをすることに対しては特別な思いがある。

水戸岡氏は旧駅舎のクラシカルなたたずまいが以前から気になっていた。「この建物を使えば、面白いことができるはず」と思っていたら、しな鉄の玉木淳社長からアプローチがあった。

2.5億円の予算で5億円に匹敵するものを造る

玉木社長が水戸岡氏に依頼した理由は、「ろくもん」のデザインで実績があったことはもちろんだが、「ローカル鉄道会社の現状をよく知っていること」も大きな理由だという。地方の鉄道会社の経営はどこも青息吐息。大きな予算は出せない。実際、玉木社長はほかのデザイナーに依頼することも考えたが、見積書に記載された金額を見て断念した。

クラシックな佇まいの旧軽井沢駅舎(筆者撮影)

その点、水戸岡氏は「2.5億円の予算で5億円の価値があるものを造ることできる」と言う。もちろん簡単な話ではなく、8時間かかる作業を4時間で済ませるような効率面での工夫は必要。作業を業者任せにせず地元も汗をかくといった協調態勢も欠かせない。

デザイン上でも水戸岡氏のアイデアがふんだんに詰まっている。たとえば、車輪の付いた可動式ハウスや屋台。地面に定着させないことで建築基準法の適用外とするのが目的だが、季節やイベントに応じて並べ替えることができる。また、園内には神社、教会、お寺なども設置、駅ホーム近くのスペースにテーブルを置いて結婚式やパーティもできるようにしたいという。遊園地の名前は「森の小リスキッズステーションin軽井沢」。長い名前だが、「“小リス”とか”リスキッズ”とか、お客さまのほうで短い愛称を付けてくれるでしょう」と、水戸岡氏は意に介さない。

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