半数以上が「赤字」、三セク鉄道の厳しい現状 都市部の路線は建設費で巨額累損
旧国鉄転換型と都市型で明暗――。信用調査機関大手の東京商工リサーチが10月21日に公表した「2015年度全国第三セクター鉄道63社経営動向調査」によると、第三セクターの鉄道運営会社63社のうち、半数以上の35社が経常赤字で、そのうち26社が国鉄の赤字路線から三セクに転換した「旧国鉄転換型」だという。
さらに、大都市圏を運行エリアとする「都市型」20社の経常利益が前年比60.6%と驚異的な伸びを示したのに対し、旧国鉄転換型31社の合計赤字は前年度の6億8400万円から21億6600万円へと、大幅に拡大している。まさに明暗を分けた形になった。
合計赤字額拡大の理由は北陸新幹線
この調査は全国の三セク鉄道65社のうち、決算を公表している63社を対象に実施したもので、大都市圏を運行エリアとする「都市型」(20社)、旧国鉄の赤字路線を三セクで引き継いだ「旧国鉄転換型」(31社)、それ以外を「私鉄・新幹線転換型」(12社)に分類して分析している。私鉄・新幹線転換型12社の内訳は、新幹線開業に伴ってJR各社から切り離された並行在来線が8社、残る4社は私鉄からの転換組だ。
旧国鉄転換型の苦戦は、もともと国鉄の赤字路線だったという属性を考えればある意味当然ではあるのだが、どの路線も規模が小さいので、大半は1社あたりの経常赤字額は数千万円から2億円未満だ。
それでも、2015年度に合計赤字が大幅に悪化した最大の原因は、旧国鉄転換型に分類される北越急行だった。2014年度は16億5300万円の黒字だったが、2015年度は4億3400万円の赤字へと、一気に20億円以上も悪化した。
その理由は北陸新幹線の開業だ。北越急行はそもそも旧国鉄の赤字路線を三セク化して誕生した路線ではない。旧国鉄の路線として計画されたが、建設途中で旧国鉄の経営が悪化し工事がストップ。地元が設立した三セクの北越急行が工事を引き継ぎ、1997年に開業した。
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