座れる列車「Sトレイン」意外な停車駅のワケ 自由が丘や保谷に停車、池袋は通過

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「Sトレイン」に使用される西武鉄道の40000系電車(撮影:尾形文繁)

その一つが東急東横線の「自由が丘」だ。土休日に運行される、西武秩父(西武秩父線)-元町・中華街(みなとみらい線)間のSトレインの東横線内での停車駅は、渋谷・自由が丘・横浜の3駅。同線の特急列車はこのほかに中目黒、武蔵小杉、菊名にも停車するが、Sトレインはこれらの駅には停まらない。渋谷と横浜は同線の両端に位置する駅だけに停車しても不思議ではないが、なぜ中間の停車駅に自由が丘が選ばれたのだろうか。

東急電鉄のwebサイトにある東横線各駅の紹介で、自由が丘は「『住みたい街』にランクインするおしゃれな街」として大きく取り上げられている。同社が発表している2015年度のデータによると、自由が丘の1日平均乗降人員は9万7453人だ。東横線と大井町線が接続する主要駅であり、紹介の文句通り「おしゃれな街」のイメージで知名度も高いが、乗降人員では特急が停まる6駅の中でもっとも少なく、特急の通過する日吉(通勤特急は停車)や綱島と比べても少ない。

観光要素のある駅で誘客図る

同駅をSトレインの停車駅にした狙いは何だろうか。東横線は、渋谷-横浜間を乗り通しても特急で26分。通勤路線であり、有料の座席指定列車にはやや距離が短いこともあってか「これまではあまりそういった(座席指定列車の運行を求める)声はなかった」(東急電鉄)という。

それだけに、同社が期待しているのはどちらかといえば東横線内のみの利用よりも乗り入れ他線との直通利用だ。そこで、西武沿線からの誘客に向け、東横線内でも特に知名度が高く、観光要素のある自由が丘が停車駅に選ばれたという。東急の担当者は停車駅について「お客様の意向などを伺いながら選んでおり、また今後検討させていただければ」といい、今後の利用状況などで変化する可能性も考えられそうだ。

ちなみに、東横線・みなとみらい線を走るSトレインは土休日のみ、1日あたり2往復半と本数は少ないものの、両線では全駅の券売機で指定券が購入できるようになっている。初の座席指定列車への意気込みがうかがえる部分だけに、ひょっとして平日のSトレイン運転に向けた布石か……とも思ってしまうが「特にそういった計画はない」(東急)という。

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