リアルに回帰する、消費者

なぜ、日本人はモノを買わないのか?【第2回】

リアル店舗には「感覚情報」が求められる

では今後、リアルの店舗に求められる役割は何なのだろうか。

1つは、前述の阪急うめだ本店やグランフロント大阪の例のように、“モノ消費”から“コト消費”への変化を受けて、滞在することが楽しいと思える場所を作ることである。そして、もう1つ重要な要素が、文字情報では分からない感覚、五感に訴える情報を発信することである。

従前より一部の消費者は、商品・サービスの仕様や価格をきめ細かく調べ、その上で最も「お値打ち」な商品・サービスを購入する購買行動を取ってきた。これに対して企業側は、マス広告をはじめとする様々なメディアや店頭での接客、販促を通じて商品特性を生活者に正しく伝えるべく努力してきた。しかし、ITが普及し、企業や生活者が発信する商品にかかわる情報をインターネットで簡単に入手できる現在は、ネット上では伝えられない「文字では分からない感覚情報」をどう消費者に伝えればよいかが課題となる。実際に商品に触れ、それを体感し、五感を通して理解できるようにすることが、リアル店舗の役割としてあらためて求められているのである。

実際、野村総合研究所で実施した調査では、商品購入の際に、実物を店舗で確認する理由の1位が「微妙な色合いや質感、サイズなど、見ないと分からない詳細な情報を知りたい」であり、2位が「手触り、におい、フィット感など、感覚的に気に入るかを確認したい」となっている。特に、2位となった「手触り、におい、フィット感」を重視する傾向は、男性よりも女性に強いのが特徴的である。

五感に訴えかける売り場作り――LUSH

五感に訴えかける売り場作りを上手に実施している企業の1つに、自然派化粧品・バス用品の製造・販売を行うLUSHがある。LUSHにおいて、最も印象的なのはその香りだ。ショッピングモールの一角から心地よい香りが漂ってくることで、店舗があることがすぐに分かる。

また、店頭でバスボム(浴槽に溶かすと泡の出る入浴剤)などを泡立てて実演販売していたり、石鹸やハンドクリームを試用することを積極的にすすめていたり、五感で商品のよさを体験できる売り場となっている。1999年に自由が丘に日本第1号店を出店して以降、価格は決して安くないが、商品のよさと魅力的な売り場作りにより、店舗数・売上高ともに着実な成長を続けている。

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