ウーバー、「腐敗した企業文化」の行き着く先 シリコンバレー最悪倒産になりかねない理由
わずか1年前、アメリカの配車サービス大手ウーバーはまるで万能の魔法使いのようにIT業界に君臨していた。だが化けの皮が剥がれた最近のイメージといえば、狂ったように車のレバーを引く不機嫌な酔っ払いのようなCEOが、救いを求める従業員に向かって拳をふるうような粗暴さだ。
今のウーバーは、何もかもが裏目に出る。事故にあった原子炉のようにメルトダウンして、シリコンバレーの中心に巨大な穴を開けるのでは、と懸念が高まっている。オンデマンドで車を手配するウーバーの革新的なサービスは、世界中で多くの人々に愛され、需要は高まる一方だ。市場が成長するのは間違いない。だがその成長には、ウーバーがいなくても支障なさそうだ。
腐敗した企業文化、不運なメディア露出
ウーバーの問題の根幹にあるのは粗野な企業文化だ。昨年12月に退職した元エンジニア、スーザン・ファウラーは、在職中に上司からセクハラを受け、人事部に何度も訴えたが、まともに取り合ってもらえなかった。会社は機能不全に陥っていると、先月ブログで公表したことで、ウーバーの社内事情が世間に知れ渡った。職場は冷酷だったと批判したファウラーは、ブログにこう綴った。「管理職は、昇進を巡って同僚と争うか、直属の上司の揚げ足を取ることしか考えていなかった」
数日後には、ロータスの創業者ミッチ・ケイパーと、労働環境を専門にする妻のフレアダ・ケイパーが、ウーバーの経営陣に公開書簡を送りつけた。設立初期に出資したケイパー夫妻は、ファウラーの告発に対する対応に誠意がないことに不満を抱き、「破壊的な企業文化」にうんざりしていると書いた。「我々が今こうして声を上げるのは、ウーバーに幻滅し怒りを覚えるからだ。社内からの変化を待つだけでは限界だと感じた」