「燃料電池バス」が握る?水素社会実現のカギ 21日から都バスで2台が運行開始

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今回導入された2台の燃料電池バスは都バスの深川自動車営業所(江東区)に所属し、走る路線は東京駅丸の内南口-東京ビッグサイト間の「都05」限定という。都交通局によると、同系統に燃料電池バスを投入した理由の一つは「臨海部の主要路線であり、多くの人の目に触れること」。そしてもう一つ重要なのは「営業所の近くに『水素ステーション』があること」だ。

運行開始に先立つ3月6日には小池百合子都知事が試乗した。「イワタニ水素ステーション東京有明」で、燃料電池バスから降りる小池知事(記者撮影)

燃料電池車を走らせるには、水素を充填するための「水素ステーション」が必要だ。燃料電池バスの営業運行開始に先立ち、小池知事が試乗した3月6日には、営業所から2キロメートルほど離れた有明地区に岩谷産業の「イワタニ水素ステーション東京有明」がオープン。営業所に水素を充填する設備はないため、燃料電池バスはこのステーションで水素を充填する。

水素「1日の運行は十分に持つ」

燃料電池バスの後部(記者撮影)

今回導入されたトヨタFCバスは、水素をフルに充填すると約200キロメートルの走行が可能という。「都05」のルートは片道約8.4キロメートル。交通局がWebサイトで公表している3月末までの予定では、平日・土曜・日曜でダイヤは異なるものの、1日4往復を運行することになっている。「1台あたりの走行距離は1日40キロメートル程度なので、1日は十分に持つ。水素の充填は2日に1度くらいになる」(都交通局)という。

電気をエネルギーとする自動車としては、バッテリーに蓄電した電力によって走る電気自動車(EV)もあるが、一般的に航続距離は燃料電池車のほうが長いとされる。都が燃料電池バスのポイントの一つに挙げるのが、この大容量の電力供給能力を活かした非常時の電源としての活用だ。

資料によると、今回導入されたトヨタFCバスは外部向けに235キロワット時(kWh)の電力供給が可能。東京電力のデータによると、一般家庭の1カ月あたりの電力使用量は248.7kWh(2015年度)となっており、これに近い電力をバス1台で供給できることになる。試乗時、小池知事は報道陣に「体育館でだいたい3日分くらいはここから電気を供給できる」「何かあった場合に『走る安心』のような存在になるんじゃないかと大変期待している」と述べた。

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