日本株の「円高抵抗力」は結構ついている 株価は動かずしばらく「市場は途方に暮れる」
また、オランダの議会選挙は反EUなどを掲げる自由党が議席を伸ばしたものの、事前の世論調査で懸念されていた「議席数での第1党獲得」は実現しなかった。一方、現連立与党の一つである自由民主党が、自由党を上回る議席を確保した。このため「排外主義を掲げる政党が台頭する現象が、ドミノ倒しのように欧州各国に広がる」との懸念は、いったんは沈静化している。ただし、4~5月に迫っているフランス大統領選挙は、それはそれで懸念材料ではあり続ける。
FOMC後、なぜドル安円高になったのか
さて、2)のFOMCだが、15日(水)に利上げが決定された。利上げ自体は、すでに連銀高官たちが3月実施について前向きに発言してきており、市場ではすでに予想され米国株式市場においては何らの波乱も生じなかった。しかし為替市場においては、FOMC直後は、米ドル相場が対円で、114円台後半から一時は113円ちょうどに迫る水準へと、下落した。さらに先週末(17日の金曜日)は、円高がさらに進み、112円70銭近辺で週を終えている。
こうしたFOMCを受けての円高の可能性については、筆者の有料メールマガジン「世界経済・市場花だより」ですでに指摘していたので、当該メールマガジンの読者の方には全く驚きではなかっただろう。ただ、東洋経済オンラインの読者のために、米ドル安・円高に振れた背景として、次の2点を挙げておこう。
1)事前に利上げを十分に織り込み切っていた。そのため、たとえば10日(金)発表の米雇用統計の内容が強いものであり、金利上昇観測がさらに台頭してもおかしくなかったところ、米長期金利は同統計を受けてむしろ低下し、米ドルも下振れした。それと同様に、金利上昇材料を受けて、かえって米国債の売りや米ドルの買いを「事実で手仕舞う」動きが、FOMC後にも表れたと推察される。
2)連銀が、一部で取りざたされていた、今年内4回の利上げシナリオを、牽制する姿勢を示した。連銀は、4回利上げするつもりが全くないわけではないだろう。ただ、市場が「3月という早いタイミングで利上げを行なったので、この後も金利上昇が加速するに決まっている」と決め打ちすることは、回避したいと判断したのだろう。
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