積水ハウス、「iPad」が可能にした震災対応 「熊本地震」翌日に専用アプリを配布
積水ハウスでは、2013年にiPad、2014年からiPhoneを導入し、2017年1月現在で1万6477台のiPadと、1万8714台のiPhoneが活用されている。上田氏によると「合計、約3万5000台のスマートデバイスの利用率は100%で、社員一同、徹底的に使い倒している」と説明する。
その背景にあるのは200を超える、内製しているオリジナルアプリの存在だ。
「全社的に導入しているのは、メール、カレンダーの共有、資料共有、社内連絡のメッセージアプリです。社内を専用メッセージアプリで運用する理由は、メールを対外的なコミュニケーションに振り向けるためです。また、社内ストレージ(Skybox)は、部門間のデータのやり取りで劇的な効率性を生み出す結果となりました」(上田氏)
これらに加えて、営業、設計、建築、総務、アフターケアの各部門でも、専用のアプリが運用されている。たとえば営業部門では、設計図を基にした3Dイメージや、部材・色を変更した建物のイメージを顧客に提案できるアプリを活用し、プレゼンテーション能力を向上させている。
これらのアプリを作っているのは、積水ハウスのIT部門だ。つまりアプリは内製なのだ。
ノートPCでのモバイル導入は浸透しなかった
「過去のノートパソコンでのモバイル導入はうまく浸透しなかった、という経緯があります。そこで、過去の資産をいい意味で引き継げないiPadを導入し、アプリ開発の態勢を社内で育んできました。ウェブアプリよりもネイティブアプリのほうが圧倒的に使いやすく、レスポンスがよく、また必要な機能だけをインターフェースに落とし込めます。
当初は社外の力も借りてきましたが、現在ではIT部門100人でオリジナルアプリの開発に当たっています。また、現場からのフィードバックもより大きくなってきたため、使い勝手へのこだわりも向上するようになりました。こうしたセンスを獲得しながら、1カ月ごとにアップデートを配信することも当たり前になりました」(上田氏)
アプリの内製にハードルを感じる向きも強かったと上田氏は振り返る。しかし、職責部長の「App Storeでこれだけ毎日新しいアプリが公開されているなら、社内でもできるだろう」という判断で、内製化が進んだ。
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