なぜ「ジープ」はアメ車で唯一売れているのか 初の「年間1万台超え」狙い、販売店を大改装中
2014年には66店だったジープの販売店数は着実に増え、2017年3月9日時点で74店となった。今年中には80店に達する計画だ。新店の中には昨年末に開店した「ジープ甲府」のように、もともとフォード車を扱っていたディーラーが、ブランド撤退に伴いジープに鞍替えしたところもある。
店舗数の拡大だけでなく、既存店舗への投資を怠らないことも販売を下支えしている。ジープの販売店はFCA日本法人が定めた新たなブランド方針に従って、2016年4月以降、従来白色だった外装を黒を基調としたデザインにするためタイルを張り替えるなど、店舗の改装を順次進めている。ただこれは店舗の老朽化対策ではない。
ジープの販売店が”真っ黒”に
ジープの販売店は従来、ジープだけではなく同じFCA傘下の「クライスラー」ブランドも併売していたので、店舗名は「クライスラー/ジープ世田谷」のように「クライスラー/ジープ」+「地名」であり、看板にもクライスラーとジープの両ブランドのロゴが掲げられていた。
ところが昨年4月以降の新方針では、店の看板からクライスラーを外した。ジープに特化したイメージづくりを進め、販売のリソースもすべてジープに投入するという方向性を明確にした。
複数の輸入車ブランドの販売店を運営するウイルプラスホールディングスの飯田陽二郎・管理部長は、こうした店舗リニューアルに必要な投資額について「最低でも5000万円」と話す。たとえば比較的小型店の「ジープ福岡西」は5740万円を投じて改装が行われたが、さらに大型の店舗になればそれよりも数千万円は高い投資金額を要する。
2017年中には80店すべてのジープディーラーが新方針に沿った店舗へと改装する。全店舗合計で数十億円規模の投資であり、極めて「攻め」の姿勢が極めて強い計画だといえる。
積極的な投資策に打って出ることができる背景には、ジープが高いブランド力を築きつつあるという要因がある。それを象徴するのが、ジープの中でも往年のベストセラーである「ラングラー」だ。昨年は約3500台を販売し、ジープ全体の4割弱を占めているが、実は2007年以降にフルモデルチェンジが行われていない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら