きっぷの技で新分野へ、老舗印刷会社の挑戦

ネット時代に活きた伝統の乗車券印刷技術

新事業部を立ち上げ、デザイン面に力を入れてきた山口誉夫さん(撮影:尾形文繁)

1980年代末は、鉄道各社が券売機で使用できるプリペイド式磁気カードの導入を積極的に進めていたころ。新たな道へと踏み出した同社は、これらのカードやオーダーメイドデザインのテレホンカード印刷などの受注を獲得したほか、デザイン力を買われて企業のCIやビデオ・CDのパッケージ、コンサートのパンフレット類のデザイン・印刷、さらにコンサートグッズのデザインなども手がけるまでになった。乗車券をはじめとした印刷を主軸としつつ、90年代にはデザインも単独で新たな事業へと育ってきた。

2003年には、制作やデザインを担うインセンクス事業部を設立。そして、新たな飛躍となったのがネット上の決済に利用できるギフトカード類の登場だった。

ネット時代に活きた乗車券技術

こういったギフトカードで重要なのは、カードに入ったシリアルナンバー。重複などのミスがないことが絶対条件だが、ここで活きたのが、同社が乗車券印刷で長年培ってきた、複数の異なる内容の券を同時に印刷するという技術だった。特に、駅名や金額などとともに券面に印字されているナンバーを印刷するためのノウハウだ。

発券する際に機械が印字する自動券売機と異なり、地方の鉄道やバスなどで係員が手売りするきっぷや、自動化されていない遅延証明書などは、同社が券面の内容をすべて印刷した上で納入している。硬券の場合、ナンバーは1枚ずつ印刷するが、紙質の柔らかい「軟券」の場合は1つのシートに複数の異なるナンバリングの乗車券が複雑に入り組んだ状態で印刷するといい、これらをどのように面付けするかといったノウハウが必要になる。シリアルナンバーの入ったギフトカードの印刷に求められる技術は、これらと同様だ。

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